基礎体力研究所

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第50回談話会:2015年1月21日

「本学バスケットボール部指導におけるフォロワーとしての試み」
…佐々木 直基

基礎体力研究所の記念すべき第50回目の談話会が1月15日に行われました。今回お話をお願いした方は,「スポーツ方法学,コーチ学」をご専門にされる佐々木直基先生です.佐々木先生は,バスケットボールの戦術や練習方法などを,ゲーム分析を用いて研究されています.

選手の競技力向上には,「注意深く組み立てられた意図的継続的な練習」の蓄積が必要だそうです.その際,指導者は,適切な支援という点で重要な役割を担っており,彼らが持てる力を存分に発揮することは,選手の競技力向上の重要な要素と言えるそうです.その中でも,今回は,「フォロワー」としての試みについて,「競技力向上」「指導者の能力発揮」をキーワードにお話してくださいました.

日本ではフォロワーの言葉や概念がまだ浸透しておらず,フォロワーの立場に居る人が活躍しきれているとは言えない状況だそうです.フォロワーには,指導の代行や,指導者からの指導内容の選手への伝達,スケジュール調整など様々な仕事をこなす能力が求められます.指導者と組織だってチームを運営することで,チーム活動はスムーズになり選手は効率的に競技力を伸ばしてゆくものと考えられます.しかし,それだけに留まらず,フォロワーはより能動的にリーダーを支えリーダーの能力を一層発揮させることが出来,それが日本の競技チーム運営において競技力向上の可能性を秘めた未開発の分野であるとのことです.理想的なフォロワーとは,指導者の指導方法(トレーニングメニュー,指導の際の選手への言葉がけ,練習以外での選手との関わり方など)を熟知して,選手に指導者の意図が的確に伝わっているかを判断します.また選手から指導者へ伝えたいことはないか,選手間の人間関係は順調かなどを気にかけ,現場に存在する様々なことが練習の充実にプラスに働いているよう,必要に応じて介入し,時に指導者に意見を述べながら軌道修正していきます.そうすれば,意志が疎通し,風通しが良くなり,選手も指導者も意欲が増して,チーム全体として活性するということです.

物理的に効果的なトレーニング方法も,人間の意欲,つまり選手の実施の仕方や指導者の説明の仕方によって,効果は異なります.人間の心持ちが組織運営に大きく影響することは,誰しも感じていることながら,組織の実情に合わせた行動をとることは簡単ではありません.佐々木先生は,多くの事例から普遍的な事柄を抽出し,フォロワーに必要な行動を学術的に体系立てて示そうとされています.ご研究が発展されることで,様々な組織で,フォロワー自身も周囲の人々もフォロワーの存在意義を再認識し,フォロワーが活躍することによって組織力が高まることが期待されます.

佐々木先生は,ご発表の間にもフロアーの先生方にご意見を求めてくださり,多くの先生がお考えを話してくださいました.皆様の活発な意見交換によって盛会となりましたことに感謝いたします.

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