基礎体力研究所

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第40回談話会:2010年1月20日

「子どもの事故防止とリスクマネジメント」
…内山有子

基礎体力研究所の第40回談話会が1月20日に行われました。

今回は、「小児保健・母子保健・学校保健」がご専門の内山有子先生に「子どもの事故防止とリスクマネジメント」と題して子どもの事故死の現状や防止策そして海外と日本の比較などとても興味深い問題をわかりやすくお話しして頂きました。内山先生は、養護教諭としての経験とさらに米国疾病管理・予防センター(CDC)への留学経験をお持ちでそこでの経験を生かしながら研究活動に取り組まれていらっしゃいます。

日本では0歳児を除く子どもの死因の第1位は交通事故・窒息・溺水などの不慮の事故であり、その死因は他の先進諸国と比較しても高率です。少子化が問題とされる日本において子どもの健康育成は大きな社会問題となります。しかし、日本では系統建てられた事故防止の取り組みは始められたばかりというのが現状だそうです。事故防止策を考える際には子どもの年齢・発育発達段階を踏まえた指導や取り組みが必要となってきます。たとえば、0歳児ではベッド内での窒息が多くなっていることからふかふかの布団で赤ちゃんの口を塞ぐことがないようになどの指導が必要になってきます。さらに、1〜14歳では交通事故が多くなっていることから道路への飛び出しや自転車の乗り方等の年齢に応じた指導が必要になってきます。

アメリカの子どもの死因は事故死が最も多く日本と変わりませんが、アメリカでは州によって様々な法整備がなされていたり、学校で事故防止の取り組みが行われています。また、事故防止のグッズなども多く開発されているそうです。

内山先生によると、予防可能な不慮の事故により命を失うことは、国の労働力・保険財政そして経済力に大きな影響を及ぼすことになります。そのため、事故防止に関する一般知識を広めることや事故防止の環境整備そして事故防止の教育カリキュラムの作成などが今後の課題になるとこのことでした。さらに先生は子どもの性格と事故に関してやスポーツ事故に関心をお持ちで今後、研究を進めていくとのことでした。内山先生の大変興味深いお話しに引き込まれてしまい、時間が経つのを忘れてしまいました。内山先生、そしてご参加いただきました教職員・学生のみなさまありがとうございました。

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