基礎体力研究所

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第55回談話会:2017年7月19日 17:30〜

「表面筋電図を用いた水中ドルフィンキック中の筋活動パターンの解析」
…山川 啓介 先生(日本女子体育大学・講師)

第55回基礎体力研究所談話会が7月19日に行われました。今回のゲストは、今年度より本学に着任され、水泳部のコーチとしてもご活躍されています山川啓介先生です。山川先生は、競泳競技パフォーマンスの向上につながる泳技術およびトレーニング法について研究を行われています。競泳競技では、水中ドルフィンキックを用いることで、スタートやターンで獲得した高い泳速度をより長く維持することができることから、今日の競技会では多くの選手がレース中に水中ドルフィンキックを用い、“第5のストローク”と呼ばれ注目を集めています。しかし、これまでの水泳中の筋活動に関する研究はクロール泳が対象のものが多く、他泳法中の筋活動については研究が少なく十分に明らかにされていません。そこで今回の談話会では、「表面筋電図を用いた水中ドルフィンキック中の筋活動パターンの解析」と題して、水中ドルフィンキックに関する基礎的な知見や山川先生の研究内容をご紹介していただきました。
エリート競泳選手における水中ドルフィンキック中の筋活動様式の特徴について、キック周期中に体幹と大腿における屈筋と伸筋が交互に活動する。この体幹筋の交互活動が体幹のうねり動作に関与し、推進効率の高い泳動作の達成に貢献している可能性がある。また実際のレースでは泳速度だけでなく高い推進効率も求められる。うねり動作を行うことで、上半身の運動が小さくなり推進効率が改善するという研究報告があることから、屈筋-伸筋間の共活動時間と推進効率の関係についてみたところ、負の相関関係がみられた。つまり、共活動が増加するほど効率が悪くなるため、推進効率を高めるために体幹筋の交互活動が重要であると報告された。この結果を踏まえて山川先生は実際の現場で、体幹からのうねり動作を意識するよう指導されているそうです。今後も、これらの研究課題を探究するとともに、競技や指導現場に還元できるようにしていきたいと抱負を語って締めくくられました。
当日は様々な分野の先生方が参加して下さり、多くのご質問と活発な議論が行われました。とても興味深いお話をして下さった山川先生と談話会にご参加下さいました皆様に心より感謝いたします。

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