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国籍概念について

中村 安菜(法学(憲法))

国民と外国人を区別する基準は、何でしょうか。どのような基準を使ってその区別をするかによって、この問いに対する答えは異なるでしょう。法律の観点からこの問いに答えるならば、国籍が答えになるでしょう。

内と外という表現があります。国籍の意義の1つに、国民(=内)と外国人(=外)を分ける基準であることが挙げられます。さらに、人を特定の国家に属させる法的な紐帯という意義を国籍は持っています。つまり国籍は、内として国家に所属する人、つまり国民を決定する機能をも有しているのです。

現在の憲法学は、国民国家の存在を前提としています。ここでいう「国民」は、その国の国籍を持っている人という意味ではなく、より理念的な概念といえます。国籍とは、その「理念的な概念を国家が法的に再構築した枠組み」なのです。政治・経済・地理・人種など様々な点を考慮しつつ、国家は、国民の枠を確定してきました。

最近のグローバル社会の中で、国籍保有国と実際の居住国が異なっている人の数が増加しているため、国籍という概念は、その意義を失いつつあるのではないかという意見もあります。例えば日本では、在留邦人数が増加傾向にあり、2012年には124万人を超え、そのうちの約33%は、海外での永住者です。このような国籍保有国と居住国の齟齬を解決するために、国籍に代わる概念も注目されています。

しかし、「国籍保有者=国民」という図式が一般に定着しており、その図式を通して、人は、国家において様々な権利・義務の主体となっています。そのため、グローバル化は、現在まで通用してきた国籍概念の意義をまだ喪失させてはいない、と言えるでしょう。

これまでの研究では、国籍概念の形成・展開の過程を、憲法と国籍法の観点から、日本とドイツとの比較を通して考察してきました。ドイツを比較対象とした理由は、ドイツにおける国籍概念の形成と展開の過程において、日本との類似点が多くみられたこと、逆に21世紀以降のドイツの国籍概念には日本との相違点が目立ったためです。今後は、これまでの研究を基礎に、これからの日本における国籍概念に関する研究を、より深めていきたいと考えています。

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