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Usage-based modelに基づく第二言語構文の習得

中村 大輔(第二言語習得論)

私は第二言語習得論を現在専門分野としているが、 現在の研究テーマを無理に一言で言えば、Usage-based modelに基づく第二言語項構造構文習得となるだろう。

Usage-based modelは認知文法の祖であるRonald Langackerが提唱し認知言語学の基礎をなす概念の一つである。人間が持つ言語知識とは、カテゴリー化、アナロジー、注意 等一般認知能力を用いて言語インプットを理解・産出する言語使用(usage)において漸次抽象化された結果と捉える。

このUsage-based modelに基づく言語習得では、同じ項目の繰り返しは記憶への知識の定着を促進するというように、言語インプットの(提示)頻度が一つの鍵となる。Michael Tomaselloらの幼児の第一言語習得研究によって裏付けられた言語インプットの提示頻度操作が大人の第二言語習得者にも習得促進効果を持つのかを検討することが現在の研究テーマの一つである。

しかし、幼児と異なり大人の第二言語習得の場合習得に個人差が生じる。その個人差の源、すなわち、項構造構文習得の促進・阻害要因の検討がもう一つの研究テーマである。異なる習得条件下での習得プロセスには要求される認知能力が異なることが知られている。幼児の第一言語習得プロセスのような、提示された言語列の意味処理からその言語列の項構造を一般化するという習得条件下では、語順への気づき(noticing)及びより高次のメタ言語的意識(metalinguistic awareness)はインプットの提示頻度操作の効果を阻害することをこれまでに明らかにした。では項構造構文の習得を促進する一般認知能力とは何か?考えるのが楽しみだ。

実験刺激の一例

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