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キャリアアドバイザー

山下 祐子(2003年度・健康スポーツ学専攻卒)

大学職員


毎日おもしろいことを見つけてひたすら笑っていた。

山下さんは大学のキャリアセンターでキャリアアドバイザーとして働いています。人材派遣会社で採用担当として4年間働いたのち、ワーキングホリデーでカナダに行きました。戻ってきて転職活動をして、今の職場を得ました。
<2011.10収録>

<前職のお話はこちらから>

ワーキングホリデーに行っていたんですね?

はい。1年間カナダに行っていました。日本に戻ってきて、今は大学のキャリアセンターでキャリアアドバイザーとして働いています。再就職してからちょうど2年になります。

キャリアアドバイザーってどんな仕事ですか?

簡単に言って、学生の就職支援です。学生の就職に関する相談を受けたり、求人情報を伝えたり。時には企業を回って学生の就職先を開拓したりもします。

どんな大学ですか?

4年前に設立されたばかりの新設校で、学生数は現在800人くらい、ニチジョよりも規模が小さい大学です。「こども保育・教育専攻」と「こども心理専攻」があって、今年初めて卒業生を出しました。共学校ですが、女子の比率が高く、「こども保育・教育専攻」は8割くらい、「こども心理専攻」は7割弱が女子学生です。

学生と話すことが多い仕事ですね?

はい。1日5、6人面談することもあります。就職活動がうまくいっている時は相談に来ないので、元気がなかったりシュウカツに後ろ向きな学生と話すことが多く、そんな学生に一所懸命パワーを降り注いでいます(笑)。私と話すことで、何かしら心に響いてちょっとでもいい顔をして帰ってもらえればと思っています。

でも学生の背中を押しすぎたりすると逆効果の場合もあるので、そこは難しいところです。1人1人の性格に合わせて、ちょっと後押しするだけだったり、逆に手取り足取り、一緒にエントリーシートに取り組んだりすることもあります。

学生の人生に関わる大事な仕事ですね。

そういう意味ではやりがいのある仕事です。ただ1日面談していると、パワーをかなり吸い取られます。笑顔を作りすぎて顔の筋肉が痙攣しちゃうくらい(笑)。私の話が全然響かなかった時は、「なんて云えばよかったんだろう?」と徒労感が残ることもあります。

それでも相談に来た学生の就職が決まるとやっぱり嬉しいですよ。それで学生から元気をもらっています。学生に接しているとつい「早く就職を決めさせなきゃ。」という気持ちになるのですが、決まりやすい業種にむやみに押し込んでも、実際に就職した学生が入ってすぐ辞めるようなことになればお互い不幸なので、プレッシャーをあまりかけないように注意しています。

ただ学生に取っては、とりあえず一つくらいは内定を持っていたほうが自信もつくので、「自分が興味ないところでもまずは、動いてみたら。」と勧めています。

勤めたきっかけは?

カナダに行っている間にリーマンショックが起こり、日本も経済状況がどんどん厳しくなっていき、「前のように簡単に正社員にはなれないだろう。」と覚悟して戻ってきました。

東京はアパートを引き払って住む所もなかったので、妹の部屋にしばらく居候しながら、仕事探しをしました。最初はインターナショナルスクールとか英語を使う仕事を考えたのですが、ビジネスレベルの語学力までは自信もなく、貯金も少なくなってきたので「早く仕事を探さなくては。」と焦っていました。

私はチアリーディングをやっていて、チアの先輩がコーチを兼ねて大学で働くことになったと聞き、私も大学職員の募集を探して、いくつか受けてみましたがだめでした。そんな頃ウェブサイトで派遣会社が大学の経理を募集しているのを見つけ、「とりあえず派遣でもいいか。」と思って面接を受けてみました。

「前の会社で採用担当をしていました。」とお話ししたら、後日「経理は他の方に決まりましたが、良かったらキャリアセンターのほうでどうですか?」と言われ、私としてはむしろそっちの方が良かったので、働くことに決めました。

2カ月間派遣社員として働き、その後大学の嘱託職員となりました。現在は学校法人の職員として働いています。カナダから戻ってきて、2カ月くらいで決まったので良かったと思います。ただ「大学でチアのコーチができるかも。」というもくろみははずれ、この大学にチアリーディング部はありませんでした(笑)。

最初はどんなことをやったの?

私が入った頃は、最高学年がまだ3年生で決まった仕事もなく、「何をやっていこう。」と思いました。学生が1、2年生の間にキャリアガイダンスを何度かやっていて、そこで全員に履歴書を書かせていたので、まずはその添削から始めました。

キャリアセンターにいても、相談に来る学生は1日に1人いるかいないかなので、「全員と面談してみよう。」と思い、11月くらいから1人ずつ面談を始めました。1期生は99名で、顔と名前がなんとか全員覚えられる範囲でした。一度話すと、前よりもキャリアセンターに来てくれるようになりました。

学生の約半分は、保育職や幼稚園教諭を希望していました。首都圏の保育所は特に人員不足なので、だいたい1、2カ所受けると決まっていきました。

でも残りの半分は一般企業を志望していて、そっちの方は1人1人、就職先をしらみつぶしに当たっていくような感じで大変でした。最終的には1期生の就職率は94%までいきました。

学生の雰囲気はどんな感じ?

ニチジョ生ほど明るさはないですが、気持ちが優しく純粋で素直な学生が多いと思います。話しやすく、人懐こい学生が多いです。大学はクラス制を取っていて、クラス内のつながりは強いのですが、外に出ていくのは苦手な学生が多いようです。

ニチジョ生はもともと活発な学生が多いので、シュウカツもやると決めたらすごい勢いでやっちゃうと思いますが、ここの学生はそのスイッチがなかなか入らないんですね。話を聞いてみると、部活で頑張って結果を出したというような成功体験があまりないんです。

だから自分に自信が持てなくて、「自分にはできるはずがない。」とか「就職したいけど、就職活動はしたくない。」とか「人前で自分のことを話すのは嫌い。」と思ってしまうようです。

部活を体験していれば、就活にも向かっていけると?

最後には就職にも繋がってくると思います。ここの大学はサークルはけっこうあるんですけど、部活は今のところ2つだけです。部活でもボランティアでも何でもいいので打ち込めるものを見つけて、もっと力を入れたらいいと思うんですよね。

私が入ってから念願のチアリーディングサークルができて、去年1年間、2年生を教えていました。でも今年度は実習が忙しくなり活動が止まってしまいました。ニチジョみたいに、実習があっても頑張って部活をやるというところまではいかないようです。

私も大学の時は、就職活動は3年生からやらなきゃいけないもの、スーツは買わなきゃいけないものという周りの流れに乗っかってきました。ここの学生は、流れに乗りきらないというか、「やらなきゃいけないんだって。」「じゃあやろう。」とならない。「やらなきゃいけないんだって。」「でもいやだな。」となって実際やらないんです。いい意味では流されないのかもしれないですが...。

そういう学生を見ていてどう思う?

歯がゆいというか、「どうして?」って思います。私は女子学生にはやさしいんですけど、男子学生には厳しくしています。

厳しく言いながら、今自分でちょっと反省しているんですけど、思えばニチジョのキャリアセンターでは怒られたことはなかったな。「どこかいい所ないですか?」って行くとすぐに探してくれたし、「ちょっと考えます。」とそのまま音沙汰もなく、また1、2カ月して「なんかいいのないですか?」って行っても、いつでも暖かく迎えてくれました。

ニチジョのキャリアセンターの方に、「今年は厳しい。私も去年よりもうまく学生に入っていけてないような気がする」と相談したら、「たぶん1年経験して、ちょっとテクニックを身につけているんじゃないか。」って言われて。

1年目は何をしていいかわからないので、とりあえず学生の気持ちに入っていこうとしていました。今はちょっとテクニックに頼っている部分もあるのかもしれません。「1対1で話すこと、就職の話なんかしなくてもいいから、とにかく学生と心の距離を近くしておくと、いざ求人があった時にすんなり入ってくれるよ。」ってアドバイスされました。

学生数が増えたので、「早く決めなきゃ。」っていう気持ちが強く、来たらこの瞬間しかないと思うと、どうしても「シュウカツ!」ってなってしまっていたのかな。

もう一つ、「お母さんになっちゃだめ。」って言われました。「親の言うことは反抗したくなるものだから、彼氏彼女の立場のほうがいい。」って言われて。確かにつきあっている彼氏だったら「こう言っちゃだめかな。」とか考えますよね。

男の子にはつい厳しく「なんでなやらないの。早くやりなさい。」とか言っていたのですが、最近は言いたい気持ちをぐっとこらえて、褒めることも心掛けて、恋愛の話や趣味の話などシュウカツに関係のない話もするようにしています。遠回りなようで、これがきっと近周りになることを信じて。

今年の就職状況はどうですか?

学生数が増えて2期生は230人くらいいます。卒業までもう半年を切っているのに、就職率はまだ50パーセントくらいなので、「なんとか90%台まで乗せないと。」とプレッシャーがあります。事務局に、4年生の名前を全員張り出して就職が決まったらお花をつけているんです。窓口から遠いところに張っているので、個人情報は見えないようになっていますがお花が何個ついているかくらいは見える。

学生は、自分のクラスのお花を数えたりして「だいぶん決まってきているな。」とか、「誰が決まった。」とか、自分より他人のことが気になるみたいです。他の人が決まっていなければ、自分もちょっと安心するのもあるのかな。就職が決まると嬉しそうに「お花つけてください。」と言ってきます。お花は実は学生たちのためではなく、こちら側へのプレッシャーなんですけどね。

学生はどんなところを希望するの?

「こども保育・教育専攻」は、8、9割が保育士か幼稚園教諭です。きちんと資格を取った学生に関してはあまり心配していません。

でも実習がつらくて途中でやめちゃったり、資格は取ったけれど保育職にはつかないという学生が数人います。そういう学生は一般企業で就職活動をしますが、実習で人間関係に悩んだり厳しいことも言われてつらい思いをしているので、メンタル的にはけっこう強く、もう一般企業しかないと思って動くので、ある意味腹がくくれていて、比較的決まりやすいです。

「こども心理専攻」には、何かしら子どもに関わる仕事がやりたいという学生が多いです。スクールカウンセラー、子どもの教育、玩具、子ども服とか。スクールカウンセラーは、大学院まで行って臨床心理士の国家試験に受からないといけないので、進学者も1割ほどいます。

子どもの教育や玩具は人気の業界ですが、大手企業が多く門戸は狭いのでなかなか大変です。最初はそっちを目指していてもうまくいかず、全然違う分野に行く学生もいます。その場合の傾向としては、人と接することが好きな学生が多いのでアパレルやサービス業を希望する学生が多いですね。金融や事務系希望の学生はほとんどいません。心理を勉強しているからか、サービス業はつらいと言われても、何かしら人と関わる仕事がいいみたいです。

児童館や、児童養護施設を希望している学生もいます。去年は、NPO法人で発達障害の子どもたちに遊びを提供するような施設にも就職した学生がいます。

自分も企業を回ったりする?

去年は、飛び込みで何社か訪問しました。今年は全然時間がなくて、なかなか新規開拓ができないのが課題です。玩具業界、教育業界、子ども服メーカーとかそういうところをぜひ開拓したいですね。

前の会社の採用担当の経験は活きていますか?

そこは時代が違いすぎますね。あの当時は採用難で、学生の売り手市場でした。倍内定を出して半分入ればいいくらいでしたから。リーマンショック以降、学生を取り巻く環境はがらっと変わりました。今は経済状況が厳しいからこそ、なんとか新卒で就職させたいと思います。

ワーキングホリデーのことを聞かせてください。

カナダでは、ウィスラーのホテルのレストランで働いていました。週5で朝5時から8時まで、手巻き寿司(外国なので裏巻きのご飯が外にあるやつ)を朝100本くらい作って、パックにつめてリフト乗り場まで運んでいました。3時間なのでたいしたお金にはならないんですけど、朝お寿司を届けたらその後はスキーがし放題でした。

子どもが好きなので、並行してベビーシッターもやりました。カナダ人の9歳のお兄ちゃんと4歳の妹を、スクールバスの送迎場所まで迎えに行って、両親が帰ってくるまで2、3時間ほど見るとか。マイナス十度の中、何時間も雪の中で遊んだ時はつらかったですけど、ベビーシッターはやってよかった。子どもの英語は単語もあまり難しくなく、私にはちょうどよかった。

カナダは多民族国家でいろんな国の人がいるんですけど、日本人の評価は非常に高く、日本人というだけでOKをもらえたこともあり、日本人で良かったなと思いました。

これからどうしていきたい?

カナダから帰ってきて、次に何をやりたいかは明確に見つけられていません。今の仕事は大変ですが、やりがいはあります。

大変なのは、時間の管理。学生も予約なしで一気に押しかけてくるので、次から次へと相談に乗ることも多々あります。やっと帰宅できる状態になってから、「明日、面接です」と言われると、見捨てるわけにもいかず(笑)遅くまで一緒に練習することもあります。私は就職サポートのみですが、キャンパスアドバイザーは定時は8時半から5時45分なんですけど、8時までは普通に残ります。8時以降もエンドレスで残業する人もいます。私の仕事は就職だけですが、正社員の人たちは、クラス担任もやり、授業もやり、広報もやり、入試もやり、全部やる。ほんとにすごいと思います。

今29歳で歳も歳なので、結婚や出産も考えなきゃいけないし(そういう予定は今のところはないんですけど)、もし違う仕事をするなら、年齢的には最後のチャンスじゃないのかなと思って色んなことを考えてはいます。

もし違う仕事をするとしたら?

今もチアリーディングを続けていて、昨日もニチジョで練習させてもらいました。もう大学から12年やっているので、気持ちの面ではやりきった感はあります。来年には現役を引退しようと思っているので、どこかでチアを教えたりするのもいいなと思います。

今こどものチアの人口が増えていて、キッズチアがあちこちで立ち上がっているんですよ。OGでキッズチアを作ろうという動きもあります。それで食べていけるまでには当分ならないとは思いますが。自分のやってきたことを次の世代に残せる仕事も良いと思います。地元である東北にも何か貢献していきたいです。

ニチジョ生にメッセージを。

この間ニチジョの就職合宿を見学に行って、やっぱりニチジョ生は肝が据わっていると思いました。最初は講師にあまえていても、いざ本番になったらやるんですね。あれなら集団面接の場でも他大学に勝てる気がします。合宿でみんなで徹夜して自己PR書き上げること自体、まさしく体育会系ですよね。

体育大っていうのもあると思うんですけど、誰かが頑張っていてもそれを変に思わないし、頑張ったことを「すごいね。」って認めてあげられるのがいい。就職活動も、他の学生の目線を気にしたり、頑張っていることを恥ずかしいと思わないようにしてください。

歳をとったからか、後輩たちと「やっぱりニチジョっていい大学だったよね。」ってよく話すんです。別に授業がすごい良かったとかそういうのじゃなく、やっぱり雰囲気と言うかな、実技の授業で他のクラスの子と組んでも「よろしく!」ってすぐに打ち解けられて、いっさい嫌な思いもなく、終わったら「楽しかったね。」って別れて。おもしろいことを見つけてひたすら笑ったり、今となっては楽しい記憶しかありません。

私はやっぱり部活の思い出が強く、ニチジョに入らなかったらチアにも入ってないし、みんなで日本一を目指したりもしなかった。そういう体験ができてほんとに良かったと思います。先輩に呼び出されたり、仲間同士でぶつかって朝まで話したりもしましたが、今となればそれもいい思い出で、社会人になればなんのわだかまりもなくなりました。

「もし女の子が産まれたらニチジョに行かせたい。」って思います。地方から出て行っても、ニチジョなら大丈夫なような気がする。そんな大学ってやっぱりいいと思いますよ。

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