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スポーツ・サービス系
フリーインストラクター

小野寺 沙恵(2007年度・舞踊学専攻卒)

フリーランス


ダンスは楽しいと思わせてくれる人達に出会えた

小野寺さんは卒業後、スポーツクラブのトレーナーを経て、フリーのフィットネスインストラクターになりました。ダンスエクササイズであるBOKWAの日本初マスタートレーナーとして活躍するほか、高齢者向けのボランティアやダンサーとしての活動もされています。
<2018.01収録>

ご出身は秋田県ですよね。どうして東京に来たのですか?

地元のダンススクールの先生にニチジョを勧められたのがきっかけです。

私は3歳の時からモダンダンスがメインのスタジオに通っていて、モダンダンスに加えて、クラシックやジャズダンスも踊ってきました。ダンスが好きだったので、将来はダンスしかないと思っていて、大学進学のことはあまり自分では考えていなかったんです。そうしたら、教室の先生がニチジョに舞踊学専攻があることを教えてくれました。推薦入試を受けることを勧められて、推薦1本で受験しました。いくつか併願をしたり、センター試験を受けたりはしませんでしたね。

大学に入学して、舞踊学専攻は大変でしたか?

授業は大変というより楽しかった記憶があります。授業以外では、ニチジョのダンス部には入らず、研究室の先生でもある坂本秀子先生の教室に週3日通い、舞台に立たせていただきました。また、地元秋田での舞踊団の公演にも参加していました。東北以外の地方へ行くことも多かったり、秋田から「ここ覚えてきて」とビデオが送られてきて、自分で準備をしたりと距離が離れている分、時間もかかりました。とにかく2つの舞踊団の練習が大変でしたね。

学生時代、将来については何か考えていましたか?

あまり考えていなかったです。漠然と、ダンスで何かできたらいいなと思っていました。しかし、3年生くらいになってからは、今までダンスばかりしてきたから、もう少し普通のこともしてみたいという気持ちが生まれて、その葛藤から4年生の夏に就職活動をしたんです。就活セミナーにも行っていなかったのですが、受けてみたら運良く受かって、スポーツクラブに就職しました。

受けたのはスポーツクラブ中心ですか?

身体を動かすことは好きだったので、スポーツクラブに行ったこともないのに、スポーツクラブのトレーナーを志望しました。ダンスをしていない人たちと触れ合ってみたかったんですね。就活をしていたのは、1ヶ月半〜2ヶ月間くらいです。その間も舞台があったので、舞台の稽古をしながら就活をしていました。

最初の就職先はどんな会社でしたか?

ベンチャー企業で、当時は全国にどんどん拡大しているスポーツクラブでした。ただ、入社して半年くらいでその会社はなくなってしまったんです。他の企業が買い取ってくれたので、会社名は変わったけれどスポーツクラブ自体は営業を継続して、私も1年半くらい働き続けました。トレーナーなので、マシンジムの使い方を教えたり、メニューを組んだりするのが仕事です。

最初はスタジオレッスンを持っていなかったのですが、スタッフレッスンが始まり、ストレッチのクラスを担当することになりました。一度やってみたら「なんかできそう」と思い、辞めてインストラクターになろうと決意しました。それから1年くらい、ヨガやプレコリオダンスプログラム、ピラティスなどのインストラクター養成コースに通って資格を取り、スポーツクラブのオーディションを受けて、レッスンが決まったところで退職しました。

フリーインストラクターとしてのレッスンは、どうやって決まるのですか?

自分がやりたいエクササイズカテゴリーでオーディションを受けて、受かったらレッスンを持てます。ただし、そのスポーツクラブが欲しいプログラムと自分のカテゴリー、スポーツクラブの空き時間と自分の空き時間が一致しなければレッスンは入りません。オーディションに受かってもレッスンが入らない場合もあります。

私は最初にオーディションを受けたスポーツクラブと、自分が働いていたスポーツクラブの系列店から、辞めてすぐに十数本のレッスンをもらえました。それで生きていけましたね(笑)。最初は「スケジュールが空いているからレッスンいれてください」という営業の電話をたくさんかけていました。

今はどういう感じでお仕事をされていますか?

10年くらいフリーのインストラクターとして働いてきた中で、少しステップアップしたいと思うようになっていきました。今はダンスフィットネスであるBOKWAのマスタートレーナーという、その分野の日本のトップとしてインストラクターを教育する側にまわり、大学卒業後から辞めていたダンスも、今なら楽しく踊れそうと思い再開しました。また、ボランティアとして、高齢者への運動指導もしています。

BOKWAについて、詳しく伺えますか?

BOKWAというのはフィットネスのエクササイズの一つです。イメージしやすいのは「ビリーズブートキャンプ」などでしょうか。ああいうエクササイズカテゴリーの一種です。創始者は南アフリカの人なので、音楽も独特なリズムがあります。日本にBOKWAのプログラムが来るとなった時に、インストラクターを教える人、つまり「先生の先生」が必要となり、それで私を含む何人かに声が掛けられて研修を受けました。10年間フリーでコツコツ仕事をしてきたから、見つけてもらえたのだと思います。当時は、BOKWAをやったこともないし、どんなエクササイズかも分かっていませんでした。研修ではやってみたけれど合わないということで辞めていく人もいましたが、私は研修を終えて、試験に合格してマスタートレーナーになれました。今日は、私たちマスタートレーナーの先生にあたる人が、海外から来て、BOKWAの研修をしてくれました。

インストラクターとしての仕事のやりがいは?

最初にスタジオレッスンを見て「できそう」と思ったのは、ちょうど好きなはずのダンスが嫌になって距離を置いていた時期でした。舞台でダンスをすることに楽しさや生きがいを感じられなくて、自己表現とかしがらみとか、今までの自分の踊りの人生について疑問を持った時期がありました。だいたい高校2年生からその疑問が大きくなって大学で爆発した感じです(笑)。

ダンスを辞めて、スポーツクラブに入社して、スタジオを見たら、スキルどうこうより、動いている人がみんな笑顔で楽しそうだったんです。その頃は、身体中に吹き出物が出るくらい踊ることに対して悩んでいたのですが、「そういえばダンスって自由で楽しかったな」と思い出して、自分もやってみようと思いました。笑うことも忘れていた時期なので、「ダンスを通して私が笑ったら、みんなも笑ってくれるんだ」というのが嬉しく、みんなで汗を流して気分が楽しくなるところや、健康にも良いところに惹かれました。何よりも、私のダンスを必要としてくれる人たちがいてくれることがとても心強く、私自身のパワーになりました。

その頃、ダンスは全くしていなかったのですか?

ダンスに疑問を感じたのが高校2年生の頃、もう限界だと思ったのが就職活動の頃で、そこで一気にダンスを辞めて、ダンスの仲間にも一切連絡を取りませんでした。コンクールでもらった賞状やメダル、舞台のビデオなど全部捨てました。このまま稽古を続けていたら、本当にダンスのことが嫌いになって、自分の唯一の取り柄がなくなりそうだ、踊ることを取ったら私には何も残らないと思ったので、また踊りたくなるまで待とうと思い辞めました。それから7年くらい舞台からは離れていました。

でもBOKWAを始めたことで、すごくフレンドリーで、自由に踊る外国人達に出会ったんです。その影響で、自分は自分のままでいい、また踊ろうと思えるようになりました。以前の私はまわりを気にしてすごく狭い考え方をしていたことと、自分の中に完璧主義なところがあったのも、ダンスが嫌になった理由の一つだと思います。しかし、海外の人達のように、楽しみ、ありのままのパワーを発すれば、そんなに辛くないかもしれないと気づいたことで、開放されました。その出会いで、長年の心の呪縛が解けたのだと思います。そして、7年くらい経って、やっと「また踊りたいな」と思うようになれました。

昨年くらいから、「ルッシュワルツ」というコンテンポラリーのカンパニーの稽古に通い、舞台に出させていただいてます。レベルの高いダンサーばかりなので、ついていくのも、仕事との両立も大変ですが、とても楽しいです。

高齢者へのボランティアというのは、何をしていますか?

ボランティアをしたいと思っていたら、ちょうど声を掛けてくれた人がいました。何かやりたいと思っていると、結構タイミング良く誰かが声を掛けてくれるんですよね。どこの地域にもあると思うのですが、高齢者向けの「ふれあいサロン」で教えています。最初はストレッチやヨガで、動く時間は20~30分くらい。あとはお茶を飲んで話をしています。この前は、それほど激しく動かないけれどBOKWAを取り入れてみました。そっちのほうが楽しんでもらえたみたいで、できないと私が勝手に思っていただけなのかもしれません。

教えている側としては、「この年齢になると後ろ歩きができないんだ」「四つん這いが上手くできないんだ」といった発見があります。スポーツクラブに来る方は普段から動いているので、エクササイズでも結構動けるんですよね。当たり前だと思っていたことが当たり前ではないことに驚きました。日本のフィットネス人口は約3%で、あとの97%の人達は、運動をしていません。その人達は、将来こうなるのかと実感しました。今後もスポーツクラブ以外での運動指導を増やしたいと思っています。

レッスンを教えている時と違って、お話はゆったりしたペースですよね。

よく言われます。見た目はちょっと怖そうだけど、話すとおっとりしているんだねって。普段は、のほほんとしています。オンとオフがはっきりしています。

お客さんとのコミュニケーションで意識していることはありますか?

お客様との距離感は、スポーツクラブの社員時代に学びました。スポーツクラブがどういう場所かを学んでいたから、フリーになっても動きやすかった部分があるかもしれません。フレンドリーすぎる関係は、良いところと悪いところがあるし、お客様から距離を保ちすぎても、良いところと悪いところがあります。難しいですね。

ただ、「みんな平等に接する」というのは、インストラクターを始めた時から自分の中で決めていました。お客様との話は、ヒソヒソではなく、みんなに聞こえるように話したり、近づいて話さないということは気をつけていますね。

今後はどうしていきたいですか?

私自身、踊りたくなくなって病んだ時期もあったので、そういう沈んでいる方やストレスを抱えている方に人にレッスンを通じて、一瞬でも忘れられる時間を提供したいです。また、健康や美容に関する部分に関心があります。身体を動かすことだけでなく、料理も好きですし、パーソナルトレーナーの資格も持っているので、それも活かしたいです。インストラクターとしてずっと動き続けるのは身体も大変なので、それ以外の仕事と半々にして、舞台も頑張りたいです。また、フィットネス人口をもっと増やす活動もしたいと思っています。

最後に、ニチジョの後輩へのメッセージをお願いします。

やりたいことはやってみるのが良いと思います。チャンスが来たら、とりあえずつかんで、挑戦してみてください。何か新しいこと、誰もやってないことを始めると、中には鼻で笑ったり「あの子何やってるんだ?」と陰口を言われたりするかもしれませんが、そんな人のことは気にしないで、とにかく行動してやってみるということです。多くの人は他人の目やリスクを気にする時間の方が長くて、チャレンジできる時間を無駄にしていると思います。トライ・アンド・エラーが大切です。

大学の頃は真面目に稽古をして、学校にも休まずに通っていたんですが、もっといろいろとチャレンジしておけば良かったという思いはあります。これまでには、いろいろな挫折もしましたが、今の私ならそこまでの挫折はしなかったと思います。踊らない7年間があったからこそ、今の仕事も、今の考え方もあるので、その時間も無駄ではありませんでしたね。