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スポーツ・サービス系
フィットネスクラブ・店長

牛房 香奈(2002年度・健康スポーツ学専攻卒)

フィットネスクラブ勤務


ずっとスポーツをやっていたから、やってこれた。

牛房さんは卒業後も学生の時からやっていたアルバイトを続けていました。そこで知り合った人から誘われフィットネスクラブでパーソナルトレーナとして働き始め、今は店長としてみんなを引っ張っていく立場になりました。
<2012.10収録>

フィットネスクラブで店長さんをやっているんですね?

はい。店長になって、もうすぐ1年です。「店長はやりたくない。」とずっと断っていたんですけど(笑)。

どうして?

自分で言うのもなんですけど、私、結構ほわーんとしていて、みんなを引っ張っていくのが得意じゃないんです。どっちかというと「行くぞ~!」って引っ張ってくれる人をサポートするタイプで。今までは副店長をやっていたんですけど、年齢的にもずっとそれをやってるわけにもいかないので...。
やっぱり店長は責任もあるし、ミーティングしたり、人前でしゃべったり、スタッフを指導したり、苦手な事ばかりですね。

どんなフィットネスクラブですか?

加圧トレーニングが特長で、お客様ひとりひとりにパーソナルトレーナーがついて、マンツーマンでトレーニングしています。

加圧トレーニングというのは?

簡単に言うと、体にベルトを巻いてやるトレーニングです。ベルトを巻くことで、普通にやるよりもトレーニング効果が格段にあがるんです。
ベルトは腕か足のどちらか、付け根にある大きな静脈の上に巻きます。ベルトを巻くとその部分の血流が制限されるので、身体に乳酸が溜まりやすくなります。普通、乳酸が出るのは身体が疲れた状態なので、乳酸が溜まると脳は体が疲労していると騙されて成長ホルモンを出してくれるんですよ。

出てきた成長ホルモンはどこに働くの?

レセプターと言って、筋肉を動かしたところがキャッチします。成長ホルモンは筋肉の発達を促したり脂肪を分解させるので、乳酸をたくさん溜めると成長ホルモンが多く分泌されて、トレーニングの効果があがるという仕組みです。

ベルトを締めて運動をするとどんな感じ?

例えば10キロの負荷でトレーニングしていた人がベルトを巻くと、2キロぐらいの重さでもキツく感じます。バリバリトレーニングしていた男性の方でも「あれ?!」っていうぐらい。でも身体にかける負荷は軽いので筋繊維が破壊されず、筋肉痛になりにくく疲労も残りません。
またベルトを巻くと血が溜まるので血管が拡張して、毛細血管や休眠血管などの血行が良くなり体中に酸素が行き渡って、冷え性や肩こりにもいいんですよ。
乳酸を溜めながら鍛えたい部分の筋肉に負荷をかけるのですが、ベルトをあまり締めすぎると筋肉に負荷がかからないので、先に筋肉を動かしてから「単関節運動」、ベルトを巻いた部分の一つの関節だけ動かして乳酸を溜めます。

今の、ちょっと難しかった(笑)。

えっと、例えば腕にベルトを巻いてベンチプレスをするじゃないですか。ベルトを締めすぎると胸よりも先に腕がキツくなっちゃって、胸の筋肉がよく使われないんです。最初はベルトを緩めに巻いて胸のトレーニングをした後に、ベルトをしっかり締めて腕の運動をします。トレーニングしたい場所の筋肉にはしっかり刺激を与えて、その後でベルトを巻いた腕の部分に乳酸を溜めるという流れです。

なるほど。自分でベルトをしてトレーニングをやっている人を見たことがあります。

自分でベルトを持ってる人は、かなりマニアックというかストイックですよね。もちろんベルトを買えば、自分でできます。うちはお客様がベルトを買いたいとなったら、講習を受けていただきます。巻く位置や強さなどをご案内して、その後はホームトレーニングなどに利用していただいています。

ムキムキになるかならないかは、強度次第ですか?

そうです。あとは性別も関係あります。うちは女性のお客様が7割強ですので、ムキムキを目指す人は少なくて、美容やダイエットを目的として来られる方が多いです。たまに男性で筋肉を大きくしたいという方もいらっしゃるので、目的によってトレーニングを変えます。

スタッフは何人ぐらいいるんですか?

うちのお店には15人ほどです。加圧トレーナーは、資格を取る経費や更新料のことを考えると、最低でも2~3年は続けてもらわないと難しいので、アルバイトはいません。フロント以外は全員正社員です。

加圧トレーナーになるには特別な資格がいるの?

トレーニング指導も含めて1カ月程度の研修を受けます。加圧トレーナーにも、最初はお客様に教えられるものからトレーナーに資格が与えられるものまで3段階ほどあります。うちの会社にはトレーナーに資格を与えられるスタッフがいて、私はその人から研修を受けました。
加圧トレーニングを発明した人が東京大学と共同研究をやっていて、私たちも年に2回ほど東大で講習や勉強会に参加しています。

大学生の頃は何をやっていたの?

陸上部で中長距離をやっていました。小学生の頃から走っていて、中高と陸上部でした。高3の冬などは、もう本当に泣きながら走っていました。体育の先生になりたかったので、先輩がいたニチジョに推薦で入りました。競技成績はそんなに良くなかったんですけど、試験が1500m一本走れば良かったので。
大学では、1500mと5000mをやっていました。朝練と午後練で一日20キロちょい、仙川や井の頭公園を走ったりしていました。大学では、そんなにいい競技成績は残せなかったですね。駅伝1週間前に捻挫して全国に行けなかったり、いつも試合前になると故障をしていた。
こう見えて、ナイーブなんです(笑)。大学3、4年の時は胃腸を壊しました。練習中に凄い熱が出て病院に行ったら急性胃腸炎でそのまま入院、1週間練習を休んだら筋肉が全部落ちてしまった感じで。
肝臓もやってしまい、体力が極端に落ちてもう大学に行くだけで疲れ、部活の集まりだけ出てすぐ家に帰る生活でした。そこからまたゆっくり練習を始めて元に戻し...。そういうのを2回やって、大学時代は練習も満足に出来なかった。

その頃は何になろうと?

本当に何もやりたい事がなかったんですよ。4年生になって、みんな、シュウカツするじゃないですか。とりあえずやるみたいな。「どうして本当にやりたいことがないのに、エントリーシートとか書けるんだろう?」って不思議でした。
私は行きたい業界もないし、何をしたいかも分からなかったので、「シュウカツなんて出来ない。」って思いました。4年の10月に陸上部を引退して、吉祥寺のナイキショップでアルバイトを始めました。あの頃は、まさか自分が運動の指導をやることになるとは思ってもみなかった。

体育の先生には?

教育実習に行って教員の大変さを思い知り、「無理!」って思いました(笑)。逆に今の方が、やってみたいって思います。採用試験も受けなくて、教員免許を取っただけです。

卒業してからは?

アルバイトを続けていました。お店のランニングクラブの担当になって、お客様と井の頭公園を走ったりしていました。販売の仕事は楽しかったしやりがいもあったのですが接客は苦手で、「このままずっとアルバイトもまずいかな。」って思っていました。
そんな時、ニチジョの先生から教務補助の話をいただき、「1年間考える時間としたら?」と言ってくださって大学に戻りました。その間に、ナイキのランニングクラブでお願いしていた外部スタッフのアドバイザーから「今度フィットネスクラブをオープンするのでやってみない?」って誘われて...。
トレーナーなんてやった事がなかったけれど、小学校の時からずっとスポーツをやっていたので、「一度くらいスポーツ関係の仕事をやってみよう。」と思い、採用していただきました。

加圧トレーニングは知ってた?

大学の頃、トレーニングセンターにいたトレーナーの方がやってたんですよ。その頃は「何やってんだろう?」と思ったぐらいで、こんなことになるなら、大学の時にもっと勉強しておけば良かったと思います(笑)。

やってみてどうだった?

現役の頃は筋トレもそんなにやっていなかったので、最初は「筋肉ムキムキになりそう。」って思いました。でも実際にはそんなことはなく、身体の動きがスムースになり、ジョギングしても体がブレなくなって、「筋トレって大事なんだな。」って思いました。筋肉痛になりにくくなって、身体が楽になりました。
人見知りするので接客には苦手意識があり、お客様と1対1は大変でした。「初めまして。」から始まって、トレーニングの目的について話しあったり、お客様が何を求めているのか察してやっていくんですけど、お客様と合わないからと言って、トレーニングを断るわけにはいかないじゃないですか(笑)。
9割がたは女性のお客様だったのですが、男性のお客様もいるので男性の担当も負担でした。6年かけてようやく慣れてきましたが、新入社員が「このお客さん苦手なんですよ。」って言ってるのを聞くと、「私もそうだったな。」って思います。

どういう人が苦手?

やはり、全然しゃべらない人ですね。何を考えているのか分からないし、「どうですか?」って聞いても反応が無いと、トレーニングする上で「次どうしよう。」ってなります。好きなら好き、嫌なら嫌を出してくれた方が、それに合わせて出来るので。
反応してくれるようにするのも私達の仕事なので、お客様との距離を縮める必要があるんですけど、「トレーニングだけしてくれればいい。」っていうお客様もいるので、どこまで近づいていくか距離感の取り方が難しいですね。

トレーニングの目的は?

女性はダイエット目的が多いです。あとはアンチエイジングや美容など。成長ホルモンは水分保持効果もあり、血流が良くなるので酸素運搬がしっかりなされて、肌質や化粧ノリが良くなったりもするようです。他にも身体を鍛えたいとか、気分転換とか、本当に人それぞれで、お客様の数だけ目的がありますね。

ちなみにいくら?

ベーシックなのは月4回、加圧トレーナーがついてる時間が15分か30分かで、2万7300円から1万5750円まであります。あと平日の昼間だけで1万8900円というのもあります。結構高いのでやっぱり目的意識を持った方が多いですね。

店長になって考えることは?

やっぱりお店の売り上げを増やすという使命感があります。この辺にも色々加圧ジムがあるんですが、施設としてはうちが一番大きくやっています。昔は「加圧」と言うだけで差別化出来たんですが、最近では他のフィットネスクラブにも加圧の資格を持ったフリーのトレーナーがいたり、エステでも加圧が出来たりするので。

加圧が広まるほど、差別化出来なくなるのは痛し痒しですね。

そうなんですよねー。だから最で近は、設備よりもスタッフを教育して、人についてきてもらおうという風に考えています。いいと思ってくださったら口コミで広がったり会員様にご紹介いただけるので。
うちの加圧トレーニングは完全予約制ですが、有酸素運動のランニングマシーンなどは好きな時に使えます。そういう点で加圧プラスアルファがあるのが強みだと思います。ヨガやエアロビクスなどのスタジオレッスンもあります。
今はホームページを見ていただいて、体験をしていただき入会という流れが多いですね。ジムを転々とする人もいるじゃないですか。でもやはり一度入ったら続けていただきたいので、その為にどうしたらいいのかいつも考えています。
やめちゃう人は、面白い事に3カ月、半年と、3カ月区切りでやめていくんですよ。逆に1年間続いたら、半分以上は続けていただけます。

それは効果が実感出来るから?

そうです。身体が変わって行くのが早い方で3カ月。逆に半年頑張っても効果がなかったら、やっぱりやめたくなっちゃいますよね。だから私たちも結果を出してあげたい。それはお客様も私達もお互いにそうです。
やれば大体何かしらは出るんですけど、「これだけ出る。」と思ってたのに「これしか出なかった。」となると「効果は?」ってなるので、どこまで求めるのか擦り合わせをきちんとしておかなくてはいけません。
お客様が効果を実感できるまでに至ってない時は「どうにかしなきゃ。」と思うんですけど、このシステムだと週1回しか会えないじゃないですか。週1回で結果を出すのは結構大変で、加圧とそうじゃないトレーニングで考えたら、加圧の方が絶対効果はあると思いますが、元々運動してない方が週1回のんびり続けて行ったら、結果は1年後かもしれません。
だから「最初は頑張って週2、3回やってみませんか?」っていうのが今の作戦です。週2回やっていただければ、3カ月ぐらいで効果が実感できます。最初「やるぞ!」ってなってる気持ちの時に、どこまで頑張るか...。それで身体が変わってくれれば、あとは週1回に落としてもあまり戻らないので。

牛房さんは今運動してる?

朝、ベルトを巻いて、ジムのぞうきん掛けや鏡を拭いています(笑)。血管が開いてそれだけで肩がすっきりするんですよ。でも店長になるとパソコンに向かう事が多くなって、肩が凝るし太ってしまって、それもストレスだったんですが、最近やっと落ち着いて来て半年で3キロぐらい落としました。仕事も大事だけど、やっぱり健康あっての仕事だと思います。

走ったりは?

たまにジョギング程度で。この間は友達と耐久駅伝に出ました。3時間で何キロ行けるかというやつです。あとは東京マラソンや湘南国際マラソンに出たり。店長になる前は、よく勤務後に皇居まで走りに行ったりしていました。「もう走りたくない。」って思って引退したのに、結局また走っていますね。

その頃の走りと今の走りは?

全然違いますね。学生の頃は「やらなきゃいけない。」みたいな使命感で走っていました。今は走っていても何も考えなくていいというか、何も考えずに走れるレベルでしか走らないので、タイムも気にせずにボーッと走っています。そういう走り方が一番気持ちいいんですよね。

ずっとスポーツをやってきて、今スポーツビジネスの現場にいるのは?

自然な流れですかね(笑)。スポーツは自分がやってきたことだし、学んで来たことだから、自分に無理せず地のままと働けるいう意味では、体育大生にとっては良い業界だと思います。

将来的にはどうなりたい?

結婚もしたいし、仕事もしたいです。ずっと現場にいるのも限りがあると思うので、マネジメントの勉強をしたいと思っていて、将来的には現場に出なくても何かをつくり出したり、お店を回したりしていけるようになりたいです。今のお店で言えば、託児所を作ってママでも運動が出来るようにしたい。

部活をしている学生にアドバイスを?

うーん、やっぱりシュウカツはした方がいいと思いますよ。私はそれをしないで来てしまい、結果オーライだったんですけど、やはりしておくのとしないのとでは全然違うし、一般的なことで言えばマナーを覚えられたり、色んな業界のことを知ることもできるから。

スポーツやって来た学生がスポーツから離れると視界が360度広がって、「じゃあ何をする?」ってどこに向かって行けばいいか分からなくなりませんか?

そうなんですよー(笑)。その中でもちょっとでも興味があるとか好きなこととか、もう勘で選ぶしかないですよね。
最近、高校時代の陸上部の同窓会で色んな業種の子が集まった時に「仕事楽しい?」って聞いたら、「いや別に仕事に楽しさ求めてないから」って言う人もいました。でも私にはそれは出来ない。安定とか将来性とか考えた事もありませんが、興味がなかったら続けていなかったと思います。

身体に関するプロとして、体育大卒というのは心の支えになる?

やはり、教員免許持ってると、凄いねってお客様に言われます。心の中で「でもなぁ~」って思いながらも(笑)。教育実習は経験として凄くプラスになったし、やって良かったと思います。何かが出来る環境にあるなら、それをフルに使った方がいいと思いますよ。免許が取れるんだったら取っておけばいいし、キャリアセンターがあるならそこをフルに使った方がいい。

ところで接客が苦手なようには見えないんですけど?

接客は好きなんですど、ずっと苦手でした。最近は苦手意識もなくなってきました。最初にクレームをいただいたお客様にも最後には気にいっていただき「トレーニングよろしく。」みたいな関係になれたり、他のスタッフが苦手だって言うお客様も何事も無く対応が出来たり。
「人見知りなんです。」って言うと、皆に「なわけないじゃん!」って言われるんです(笑)。私の中ではそうなんですけどね。

店長という地位が、人を作ったんですね(笑)。