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空間デザイン・商業施設開発

中田倫未(つぐみ)(2011年度・スポーツ科学専攻卒)

空間デザイン会社


何があっても3年間は頑張るゾ!

中田さんは、空間デザインの会社で働いています。働き出して2年目が過ぎました。あることから辛いことがあっても3年間は頑張ろうと決めました。
<2014.01収録>

今、どこで働いているの?

会社が最近、芝浦の海が見える大きなビルのワンフロアに引っ越してきました。

カードでピッて入るビル?

はい。そんなの今までなかったので、みんなてんやわんやですよ。ピッてしないとどこにも行けないし、トイレに出てもそれがないと入れないので、忘れた日には「もう仕事できません!」って感じです(笑)。

でもあの「ピッ」は大企業っぽくてちょっと憧れです。ところで空間デザインの会社ですか?

店舗の内装や設計施工がメインです。内装のデザインや設計施工をする部署と、マーケティング調査や商業施設のコンセプトの立案をしている開発事業の部署に分かれていて、私は開発事業部のほうで働いています。働き出して2年目です。

マーケティング調査やコンセプトの立案って、どんなことをやるの?

例えば、ある土地にショッピングモールを建てたいというお話をデベロッパーさんからいただいたとします。そうするとまず立地調査をします。周りにどんな人が住んでいるのか、道路環境はどうか、そういったことを細かく調査して、「ここは一人暮らしの若い人が多いからファッションビルにしませんか?こんなテナントを入れて集客はこういう風にしましょう。」といったことを提案します。
それが通ればそのコンセプトに沿って、設計チームの部署が、敷地の中にどう建物を建てて、お店をどう区画割りするかなどのマスタープランを作ります。例えば直線の通路だと歩いていてどこに何があるかすぐ分かっちゃうのでちょっとうねらせて「前に進もう。」っていう気にさせようとか、そんなことを色々考えてプランを作っていきます。
プランが決まったら今度は、リーシングといってテナントを集める仕事があります。例えば1階はセレクトショップ、2階はファミリー向け、3階は年配向けとアクティブスポーツという風にコンセプトを決めて、そのイメージに沿ったお店に「入りませんか?」と交渉していきます。

中田さんの仕事は?

私は今は、埼玉県のあるショッピングモールの活性化リニューアル計画の仕事に携わっています。お店のゾーニングイメージ案を作ったり、上司と一緒にクライアントに行ってテナントの入れ替えの打ち合わせや、新しいテナント候補の会社に誘致に行ったりしています。

どうしてその会社に入ろうと?

大学で新体操部に入っていて、代々木体育館で発表会をやった時に、私は会場係として音響さんとか照明さん、イベント会社など、色んな人のチカラを借りて舞台を創っていきました。その時の経験で、イベントの仕事に興味を持ち、就活が始まると就職サイトで「イベント」と検索してみました。
ところがイベント会社自体はあまり出てこなくて、変わりにイベントブースや店舗のディスプレイを作っている内装関係の会社が出てきました。お店を作るのも、デザインや設計など、色んな人を入れてやっていくので、「イベントの仕事に近いな。」と思ったんです。
イベントは開催後に取り壊してキレイサッパリなくなっちゃうけれど、商業施設なら残るので、自分が関わった場所で買い物をする事もできるし、友達に「あそこ行ったよー!」とか言ってもらえたりしますよね。
内装関係の会社を色々探してエントリーしました。「商店建築」という雑誌があるのですが、高くて買えないので本屋で立ち読みしながら「デザイン◯◯」とかのクレジットを携帯にメモっていたら、警備員に「お客さん、困ります。」って怒られてしまいました。
でも噂では、「そういう会社はデザイン能力重視だから、体育大とかは書類で落とされちゃうよ。」と聞きました。実際に応募してみたら、やはり書類で落とされたり、書類は通っても面接で落とされました。
サイト検索で「店舗・内装・デザイン」とか入れて、出て来た会社に片っ端から電話してみたりもしました。「新卒の採用はやっていませんか?」って聞くと、どこも必ず「少なくとも3年はどこかで経験を積んでいただかないと。」と言われました。小さい会社は新卒は中々入れないことがわかりました。
4年生になり、新体操部の同期で幼稚園の頃から一緒に新体操をしていた幼なじみが、ホテルに就職が決まりました。6月になると教育実習が始まり、「その間にも自分の行きたい業界の募集が終わっちゃうんじゃないか。」とだんだん焦り始めました。
教育実習から戻って来たら、新体操部の同期はほぼ全員就職先が決まっていました。スポーツジムとか幼児体育、新体操のクラブチームの先生とか...、1社受けて内定をもらい就活を終える人もいて、周りがどんどん決まって行く中、自分だけが取り残されてしまいました。
8月に入り、この会社がひっかからなかったら、もうこの業界は諦めようと思っていました。2回目の面接で社長が出て来て、「ひょっとして最終面接?!」と思いました。もう後がないので、思わず熱がこもって言いたい事をそこで全部言いきりました。その熱意が通じたのか採用していただきました。
結局50社ぐらいはエントリーして、実際に履歴書を出したのは20社ぐらいです。苦戦したほうだと思います。

入社してから?

私は文系枠で入ったので、営業として働くか開発部門に行くかの2択でした。最初は営業として、「デザイナーと打ち合わせしながら店舗の内装デザインに関わっていく。」そんなイメージを持っていました。でもジョブローテーションで色んな部署を回るうちに、自分の気持ちが変わっていきました。
仕事の取り組み方や現場のモチベーションも影響したと思います。営業は、お客様との予算合わせが主な仕事でお金の話がメインなだけに、私のイメージしていたものよりずっとシビアな世界でした。
開発は、常にお客様の先を行って提案しなくてはならない事もあり、「お客様はこう考えているけど、ここはもっとこうしよう!」という風に、お客様に言われた以上のことを目指していて、かっこよく見えました。ショッピングセンターとか大規模な案件に関われるし、人が大勢集まる場所を作るのは「やりがいがあるな。」と思いました。
人事は上司が決めますが、その時感じた「開発に行きたい」という意志は自ら発信していました。

念願の開発に行ってみて?

最初は企画書のお手伝いや文字打ちをしていました。提出してから、5年、10年後までOPENが迎えられない案件ばかりで、なかなか目に見えるかたちで達成感を味わうことができませんでした。企画したものが実際にどうなるか全く分からないまま、またすぐ別の仕事に取りかかる感じなので、上手くモチベーションを上げることができず、仕事に対するフラストレーションが溜まっていきました。

去年の10月に、大学に来て後輩に自分の仕事のことをお話してくれましたね?

キャリアセンターの方から、仕事のことをお話してくださいという依頼が来た時は、メンタル的には一番の底というか、もう本当に辞めたいオーラを放っていました。「とても前向きな話ができそうもないので。」と最初はお断りしたんですが、「あわよくば転職先が見つかるかも?」と思い直し参加してみました。
久しぶりに行った大学で、色んな業界で働いている先輩や同期と会いました。私が行きたかったイベント業界で働いている先輩に、「仕事が辛いとか辞めたいと思った時は、どうしていますか?」っていう超ネガティブな質問をしちゃったんですよ。
そうしたら「私も納品前とかイベントの前はすごく忙しくて辛いけど、それが終わったら何か見えてくるかなと思ってやっているよ。」そして「その仕事や会社を選んだのは自分なんだから、自分を納得させるだけのやりがいとか達成感を見つけけるまでは辞めちゃダメだよ。」と言われました。
その言葉は私の心に響きました。「みんな同じなんだな。」って思いました。「みんな働いていて何かしら辛い事はある。それでも頑張っているんだな。」そして、「私はこの大学にいたから大丈夫かな...?」って思ったんですよ。
「会社の同期は皆違う大学で仕事を頑張っているのに、体育大卒の私が先に辞めてどうすんだ!」みたいな意地がそこで生まれて、「私は普通の女の子じゃなくて、体育大の女子なんだぞ!」っていう変な自信も出てきて、「何があってもとりあえず3年は頑張ってみよう!」と決心しました。

あれから4カ月たちましたが、今はどうですか?

企画書だけでは可哀想って思ってくれたのか、上司からMD(マーチャンダイジング)やテナントのことを教えていただき、今は上司と一緒にリーシングの打ち合わせに行ったりもしています。リーシングに関わるようになって、実際に自分がやった事が目に見えてくるようになり、自分の世界が広がってきたように思います。

仕事ってちょっとしたきっかけで、つまらなかった事が急に面白くなったり、今まで見えなかったものが見えてきたりしますよね?

本当に、「自分の考え方次第で変わるんだなあ。」と思います。今までは雑誌を見て「あ、こういうレイアウトの仕方があるんだな。」と思っていたんですけど、今は同じ雑誌を見てても「あ、こういうブランドがある、これはここのビルに入れたいな。」そういうことまで考えるようになりました。

大学時代はどんなことを?

大学までは新体操一筋でした。幼稚園の頃に地元のクラブで始め、中学2年生の時に北京オリンピックの強化メンバーに入りました。高校の頃にルール改正があって技の難度を上げないと点数が出なくなり、その頃から成績は落ちはじめました。
県大会は1番でしたが全国には行けず、高校で新体操は止めようと思っていましたが、クラブの先生の勧めもあってスポーツ推薦でニチジョに入りました。大学で最初はB団体(2軍みたいなもの)に入りましたが結局A団体には選ばれず、レギュラーとしてやっていける自信もなかったので、それからは一般の部員として活動していました。
一般の部員の活動の中心になるのは、代々木体育館の発表会です。企画や振付、準備など3年生の部員が中心になって、全部員が参加して行います。手前味噌になってしまいますが、ニチジョの発表会は新体操の集団演技の中でも群を抜いていると思います。人気があって毎年チケットは完売します。
その分私たちの発表会にかける思いも熱く、先生も「技術だけじゃなく踊る心を大切に。」と、観に来てもらった人にどう伝えるかを時間を惜しまず指導して下さいました。私達の年は孫悟空をテーマに作品を創って好反響をいただきました。

その頃は将来何になろうと?

小学校の教師になりたいと思っていました。ニチジョには当時、他大学と連携して学年で10人だけ小学校の免許を取れるという特別カリキュラムがあって、私はそれを取ろうとしましたがその枠には入れませんでした。ダブルスクールに行こうと思い他大学に話を聞きに行くと、「卒業してから来て下さい。」と言われ...。
「大学を卒業してあと2年、自分にそんなガッツがあるだろうか?」と思いました。兄が小学校の教員をやっていて、彼は3回試験に落ちて4年目でやっと正式採用になりました。毎晩遅くまで勉強している姿を見て、「私にはとてもあそこまで出来ない。」と思いました。教員の免許だけは取りたいので教育実習には行こうと決めていました。

新体操関係の道には?

幼稚園からずっと新体操しかやってなかったので、「このまま世間知らずではいけない。」と感じていて、新体操で養ってきたことを活かして社会で自分のチカラを試してみたいと思いました。周りは「今まで自分がいちばん一生懸命やって来たことだし、自分の取り柄を活かして就職しよう。」という人が多くて、部の中でスポーツ関係以外の企業を目指すのは少数派でした。
でも今、夜遅くまでカリカリ残業していると、「そういう道もあったのかなぁ...?」と思ったりもします。

毎日何時くらいまで働いているの?

朝の9時から夜の10時ぐらいまで、遅い時は終電まで仕事です。7時とかに外出先の打ち合わせが終わり、帰って行く人を横目で見ながら会社に戻って、おせんべいを食べながらパソコンをカチカチならせて残業していたりします。
アフターファイブはうちの場合シックスなんですけど、最初はそれを楽しみにしていました。でも今は、「アフターファイブなんて嘘だったんだ!あんなことは世の中にはないんだ!」って思っています(笑)。

ごはんとかはどうしているんですか?

マイブームは、シリコンスチーマーにもやしを入れてチンして、ごま油と中華だしと塩こしょうで食べるやつです。2分もあれば出来るので料理とは呼べないものを、夜遅く12時頃に帰って来て、「あぁもうこんな時間~」って食べています。
お昼は外食だから、夜も会社でお弁当を食べたりすると私の身体は添加物だらけになっちゃうと思って、夜中にもやしを食べるというすごい矛盾(笑)。ゆっくり家で料理とかしてみたいです。

クライアントのある仕事は大変だと思いますが、そのクライアントも誰かの為に仕事をしている訳で、結局、誰かの為に仕事するとなると、ある意味自分を捨ててやらないとできないですよね?

そうなんですよね。それで自分のプライベートの時間が全くなくなっちゃうのは辛いなぁっていう時もあります。そういう生活を続けていると「このまま私は、仕事だけで生きていくのか?」と思っちゃうんです。「夜遅くまで残業しないと終わらない仕事を、この先10年も20年もやれるのだろうか?」って。そんなこともあって、何カ月か前は転職を考えたりしちゃいました。もちろん、自分の効率が良くなれば、もう少し楽になると思うんですがね(笑)。

他にするとしたらどんな仕事を?

あの時はもうネガティブ過ぎて、「ベルトコンベアーに流れて来るアンパンの上にゴマ振る仕事がいい。」とか言っていたくらいです(笑)。でもまぁ現実的に考えれば、今までの仕事の中で身に付いたものと言えば、デザインソフトを使って企画書の紙面を作るとか、そういうことは実感としてあります。
デザインに関わるのは楽しいんですよ。自分がやった企画書を「きれい!」とか「見やすい」とか言ってもらえると、鼻高々で「私がやったんだよ~。」って思います。カフェで働くのも憧れです。ラテアートとか大好きなんですよ。家で泡立てるやつを買ってカップに絵を書いたりしています。でもそれが本当にやりたい仕事なのかどうかはわかりません。

10年後は何をしていたいですか?

34歳...。子どもがいて家族ができていたら楽しいだろうな。結婚願望はあるし子供も欲しい。でも仕事が嫌だからそっちに逃げるようなことはしたくないんです。こう見えて真面目なんです(笑)。もし結婚していないで今の仕事を続けられていたら、それはそれでハマっているということだから嬉しいんですけど...。
もし結婚して子どもが生まれたら、この仕事は絶対出来ないと思います。結婚して辞めちゃうか、結婚せずに残っているかどっちかです。育児休暇はあるけど、6時に「子どもが待っているのでお先に。」って言えるような環境がまだ出来ていないんです。会社はそっちの方向に何とか持っていこうとしているみたいですが...。
子育てのブランク後に社会復帰しようと思ったら、やはり何か自分が出来るもの、技術を持っていなければ難しいのかな...。まぁ、あと1年で結婚となるわけもなさそうだし(笑)、とにかく今は、「今の仕事を3年間続ける!」っていうバクッとしたものしかありません。
あの暗黒の病み期の時、卒業式の時の写真を見ました。大学生の時は1年目は雑用ばかりで一番大変でした。まさに今の仕事と同じです。2年目3年目もそれなりに大変でしたが、4年生の時は「この大学に入ってよかった。この部活を選んでよかった。」って思いながら卒業しました。
そのことを思い出して、「何でもやっぱり1年目って大変なんだ。でも、終わる頃には絶対楽しくなってる。今の仕事を2年で辞めたら、一番楽しい時の感覚を味わえないんだ。」と思って、4年生の時の感覚にたどりつくまで、それを味わうまでは辞めません。どっかでそういう時が来ると信じています。

あの日大学で会った先輩のように、業界のプロを目指してみれば?

そんな!(笑)恐れ多いです。でも1つの事を一生懸命やっている人ってやっぱり強いですよね。