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医療・福祉系
児童指導員

増田 明日未(2012 年 舞踊学専攻[現ダンス学科]卒/ 2016 年 大学院スポーツ科学研究科修了)

株式会社トリプル・ハート


ダンサーや介護職員としての経験を
「療育」の分野に活かす


<2020.09収録>

高齢者だってダンスを楽しめる!

幼いころからクラシックバレエを習ってきた私は、未知のジャンルのダンスを学びたいと思い、ニチジョに入学。岩淵先生の授業でコンテンポラリーダンスに魅了されて技術を磨き、3 年次には岩淵先生が主宰する公演のオーディションで合格することもできました。プロダンサーとしての将来も考えたのですが、仕事をしながらダンスを続ける道を選び、卒業後の2年間は介護職員として過ごしました。実際に仕事とダンス活動を継続させていると、夜勤明けに稽古や舞台に立つといった大変な場面もありましたが、ダンスが好きだからこそ両立させることができました。

介護現場での一番の気づきは、「ダンスは誰でもできる!」ということでした。足腰の弱い高齢者でも座ったまま踊ることで、表情もいきいきとしていくのです。そこで、高齢者を対象としたダンスの可能性を探究したいと考え、ニチジョの大学院に進学。高齢者施設でのダンスの普及度や、ダンスによる心理的な変化について調査・研究を進めました。また同時期に、高齢者向けにダンスアクティビティを実践したいと思い、福祉サービス系企業のアルバイトスタッフに応募したのですが、実際に私が担当したのは「療育」と呼ばれる分野でした。ここでの予期しない経験が、「療育」に携わる現在につながっていくとは思いませんでした。

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子どもの発達を促し、自立を支援する療育の道へ

「療育」とは、自閉症やダウン症など、発達が気になる子どもたちが社会で不自由を感じないようにするための発達支援。私は、在学中に取得した教員免許状と介護職時代に取得したホームヘルパー2級の資格に加え、アルバイトではありますが療育での3年間の実務経験があったため、「児童指導員」資格が与えられて業務に当たっています。具体的には、まっすぐに歩く・階段を上り下りする・スプーンを持つなど、日常生活における身体の使い方や力の加減などの生活動作の練習を行います。その他にもジャングルジムや滑り台などの遊具で安全かつ上手に遊ぶための練習や、発語のサポートなども行います。子どもの成長を間近で感じられ、子育てをする親御さんを支えることにやりがいがあります。

また、当社では一般的な療育を行うだけでなく、スタッフがチーム一丸となってアイディアを出し合い、オリジナルの療育プログラムを生み出していくやりがいもあります。そのひとつが「ダンス療育」。子どもたちは音楽を聞くと自然と体が動いていき、最初は軽く腕を振るだけのような"スモールステップ" でも、その積み重ねが大きな成果につながります。表情も明るくなり、コミュニケーションが活発になる子どももいます。ダンス療育のプログラムでは大学で学んだスムーズに身体を動かすための筋肉の使い方や、コンテンポラリーダンスの動き、高齢者向けにダンスプログラムを考えた時の発想など、すべての経験が療育につながっています。

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ダンスも療育も、人を笑顔にしたいから

かつて岩淵先生は「あなたがダンスをつかんでいれば、ダンスが離れていくことはない」と話してくれました。その言葉を胸に卒業後もダンスを続け、障がいのある舞踊家たちと一緒に多様な身体性を生かした舞踊表現を拓くダンスカンパニーでの活動をするなど、国内外で舞台に立ってきました。そして現在も、無理のない範囲でソロ活動は続けています。そうやって踊り続ける理由は、「ダンスは人を笑顔にできる」と信じているから。子どもから高齢者まで一緒に踊る仲間たちや、それを見てくれる人たちを笑顔にできるからです。この思いは仕事でも同じ。「子どもを笑顔にしたい」「働きやすい職場づくりで仲間のスタッフを笑顔にしたい」という思いが何よりの原動力になっています。

ニチジョの後輩に伝えたいことは、自分の専門分野と関係があるかないかで切り分けることなく、幅広く興味を持って視野を広げる大切さ。私自身、さまざまな経験がつながって今がありますし、人間的に成長するからこそダンスのクオリティも高まるのだと実感しています。みなさんには、どうか限界を決めることなく、自分の可能性をとことん追求しながら学生生活を送ってほしいです。

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