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管理・事務系
郵便局・事務

日野(旧姓・竹田) 佳世(2004年度・スポーツ科学専攻)

郵便局株式会社


笑っていたら絶対いいことあるんですよ。

日野さんは郵便局で働いています。公務員として就職しましたが、郵政民営化で職場が分社化されました。職場環境がどう変わっていったのかも含めてお聞きしました。
<2010.04収録>

何をやっているの?

郵便局に勤めています。働き始めて4年たちました。郵便局は以前、日本郵政公社と言っていましたが、民営化して4つの会社に分かれました。郵便事業株式会社、株式会社かんぽ生命保険、株式会社ゆうちょ銀行、そして郵便局株式会社です。

それぞれの会社は何をしているんですか?

郵便事業株式会社では、郵便物の配達や集荷をしたりハガキや切手を売っています。みなさんが思っている郵便局というイメージにいちばん近いと思います。かんぽ生命は生命保険を、ゆうちょ銀行は銀行業務を行っています。私がいる郵便局株式会社は、郵便物もあずかるし、切手やハガキの販売、生命保険や預貯金など、3社の業務を委託され、取り扱っています。

特定郵便局って、田舎にある小さな郵便局というイメージがありますが?

はい。よくCMとかに出てくる郵便局ですね。都会にあるとなかなかそうは見えないんですけど、特定郵便局は首都圏のほうが多いんです。配達を行う大きな郵便局(渋谷で言うと渋谷郵便局)以外の小さな郵便局はだいたい特定郵便局でした。だから4つの会社の中でも、郵便局株式会社の社員がいちばん多いんです。

以前集配局と呼ばれていた大きな郵便局は、郵便事業株式会社に属しています。最近は、看板がついているので、その看板の色で見分けられます。看板が赤色だと郵便事業株式会社、オレンジ色だと郵便局株式会社、青色はかんぽ生命、緑色はゆうちょ銀行です。

なるほど。日野さんはどんな仕事をしているの?

私は、山手線沿線の小さな郵便局で、窓口業務をしています。窓口は郵便と、貯金・保険に分かれています。郵便の窓口は、ゆうメイトさんというアルバイトさんが入る場合が多いので、私は主に貯金・保険の窓口にいます。預貯金を預かったり、生命保険のご説明をしたり、時には、郵便の窓口の仕事をやったり、オールラウンダーでやっています。

民営化になって、変わったことはありましたか?

私が入った時はまだ日本郵政公社でしたが、もう法案は通っていて翌年に民営化されることが決まっていました。私は公務員試験を受けて就職をしましたが、今は一般企業と変わらず、普通にエントリーシートを書いて面接や試験を受けるという形になっています。

当時は、お仕事が内務と外務に分かれていました。外務は外に出て郵便を配達したり、お客様を訪問する仕事で、内務は窓口業務の仕事です。私は内務の仕事をやっていました。民営化になって、私は郵便局株式会社の所属になりました。従来の仕事に準じた形で所属が決まりました。

ちょっと不思議なのは、旧集配局では4つの会社の人が混じって仕事をしています。看板も赤、オレンジ、青、緑がある。ただ会社は分かれていても、民営化される前の職員の方が圧倒的に多いので、同じグループという意識が強くて、アットホームな雰囲気です。

新聞の投書欄に、「ある郵便局から特産品を送った人が送り先を間違えてしまい、転送してもらおうとしたら窓口の人に断られ、困っていたら隣の窓口の人が助けてくれたんだけど、『お宅の会社では責任が取れるの?』って窓口同士で口論になった」という話が載っていました。

うーん、同じ会社だったらその辺は柔軟に対応できるんでしょうけど、別会社になってしまったので、本来はそれぞれの会社の手続きに従ってやらなくてはいけないんですよ。でもお客様に「なんとかして。」って言われると、やっぱり「なんとかしてあげたい。」と思いますね。

でもそれは本来正しい手続きじゃないかもしれないので「それで責任が持てなくなってしまったらどうするの?」って思う職員もいて、そこは葛藤がありますね。

民営化されると、普通はサービスが良くなるような?

もちろん便利になっているところもたくさんあります。保険や郵便に関する商品も増えているし、たとえばキャラクターものの商品などは、今までだったらありえなかったけれど、去年くらいから年賀状にプーさんが入っていたり、ぽち袋にアンパンマンが入っていたりします。

保険の商品もがん保険がはじまったり、変額年金が始まったり、ゆうちょ銀行では住宅ローンもやったりとか、どんどん新しい分野がひろがっています。コンビニみたいな感じで親しまれる雰囲気を作っていきながら、住民票やパスポートが取れたりする役所的な仕事もしていく。ある意味なんでもありで欲張りですけどね。

どうして、郵便局に勤めようと思ったの?

公務員になりたかったんです。親の影響が大きいですね。父と母も公務員なんですよ。小さい時からそれが当たり前に育っているので。姉も、姉の旦那さんも公務員です。

最初は普通にシュウカツをして一般企業を受けていました。面接には10何社行って、内定も何社かいただきました。流れでシュウカツしていて、いろんなお話を聞けて、いろんな人とお会いできて、勉強になったのですが、実際に内定をいただいても、「よし、この会社で行こう。」という気持ちにどうしてもなれませんでした。

どうしても心の中で、公務員の仕事と天秤にかけてしまうんですよ。「どうして公務員試験を受けなかったんだろう?」とか「来年の公務員試験に備えて勉強しようか?」とか、いろいろ考えてしまって。

誰かに相談した?

シュウカツするまでは、自分が苦しくてもそんなことは親に見せなかったし、涙も絶対見せたくありませんでした。シュウカツを始めてから、親と話すようになり、初めて親に「つらい。」って言いました。泣きながら「帰りたい。」って言って、「帰ってきたら。」って言ってくれるかと思ったら、「なにバカなこと言ってんの!」って怒られてしまい、その一言で我に帰りました。親のありがたさを感じました。

結局、就職はせずに、ニチジョを卒業してから1年間、公務員試験対策の専門学校に行きました。公務員といってもたくさんあるので、勉強しながらどういう職種があるのか調べたり、話を聞きながら的を絞っていきました。

いろんな人に接したいと思ったから接客の仕事に興味がありました。その場限りじゃなくて、またいらっしゃる方、またお会いできる方を、増やしていきたい。そう考えていくと、郵便局というのが浮かんできて、公務員試験の1種、郵政事業の試験を受けることにしました。

ニチジョにきたのは?

体育の先生の影響もあって、教員になりたかった。ニチジョは、体育だけじゃなく色々なことが学べそうだと思って入りました。中学校の時からバレーボールをやっていて、大学でもバレー部に入りました。私は燃えつき症候群で、スポーツは他にもいろいろやっていましたが、賞状いただいたりするとやめちゃうんですよ。バレーボールは結果が出なかったというか、たぶん納得がいかなかったんでしょうね。

部活では自主性を求められました。先輩が後輩を教え、後輩がまた後輩を教え...。9人制だったんですけど、アタッカーをやっていてレギュラーでした。厳しかったけれど頑張ることが楽しかった。

高校の時に膝の靭帯を切って、すぐに手術すればよかったんですけど、大学に来ても部活をやりたい気持ちが先にたち、治療を後回しにしていました。3年生の時に、目指していた大会で優勝し、自分の気持ちにひと区切りがついたので、4年生の時に入院して手術をしました。そこで部活は実質的に引退となりました。

3年生になってそろそろ就職のことも考えなきゃとなった時、部活もありましたが、就職ゼミを受け始めました。今では部活をやりながらシュウカツするのが普通になっていると思いますが、私の時は部活を休んで就職課に行ったり、就職ゼミを受けていると白い目で見られるような雰囲気がありました。私は、自分たちの代でシュウカツすることを当たり前にしていきたかった。

ゼミは、志望動機や自己アピールをメインにやりました。講師の先生に表現力を求められ、「演技派女優になれ。」って言われました。最初はとまどって、「女優?演技?このままじゃだめなんですか?」って聞いたことがあり、「だめ。そのままでは落ちる。」って言われました。

びっくりしました。体育大生にとって、女優なんて似合わないですよね。でも、喋るのがへたでも手振りそぶりを使って思いを伝えるということを教えていただき、「ただ喋るのと、自分の思いを伝えるのとは違うんだな。」ってわかりました。

実際の試験はどうでした?

最初は筆記がネックだったんですが、何とかクリアーして面接に行きました。最初はいっぱいいっぱいで、こう訊かれたらこう答えるってあらかじめ紙に書いて持って行ったんですよ。でも、それをそのまま頭に浮かべて読み上げていたらうまくいかないんです。シュウカツの中盤あたりから、用意していたことをそのまま言うと落ちるんだって気づきました。

逆に自分が言いたいことや思っていたことが伝えられた、「全部喋りきった。」と思えると不思議と通るんです。面接の帰り道で、「今日はだめかな。」とか、「今回はたぶん通過だな。」とか、わかるようになりました。

マニュアルどおりにやっていても、伝わらない?

そういうことって、今の仕事でもあります。たとえば保険の営業ですが、生命保険って形がないじゃないですか。お客様もお金は払ったものの、何を得たのか実感がない。説明が難しく、「この人は保険を必要としているから、絶対入ってくれる。」と思って、安易に高い商品を勧めたりしてもなかなかうまくいかないんですよ。

だから、お客様の個人状況、性別や家族構成、お給料、1カ月に使えるお金、いろんなことをじっくり教えていただいて、「この保険じゃなくてこっちのほうがいいですね。」とか、「こういう時はこうなりますね。」って、お客様と会話のキャッチボールをしながら、いろんな商品の中から一緒に商品を選び出していくと、スムースにいったりします。

お客様と自分の思ってることが1つになっていく過程が「ああ、流れている。」って感じます。まさに思いが1つになるんですよね。利益とか目標達成のためじゃなく、本当にこの方に必要だと思ってお話を進めた時は、お客様が心を開いていただけますね。だから、ほんとに保険が必要な人には、本音であたります。面白いですよ。それが保険の営業の魅力ですね。

ノルマとかインセンティブはありますか?

ノルマはありませんが、1局あたりの「目標」があります。インセンティブというよりも、自分で頑張っただけの手当が支給されます。自分のために、お客様のために日々頑張ってます。

郵便局で良かったと思えることは?

郵便局は基本的に全国どこでも同じ仕事なので、どこに行っても活躍できます。と言っても、支社ごとに分かれているので、実際ころころ変われるかというとそうでもないんですけどね。でも他のところに行っても、ここで学んだことは使えると思います。

やっぱり地域性のあるものですから、地域のお客様と触れあう感じのお仕事ができます。保険で来られた方に「来月から貯金のキャンペーンやりますよ。」って言うとまた来てもらえるし、「そろそろ年賀状の季節ですよ。」って言うと年賀状を買ってくれる。そんな風に、郵便局にたまたま来られた方でも、また来てもらえるようにお話しています。

先輩も今の上司もそうですが、いろんな出身の方、いろんな経験をされた方とお会いすると、お仕事以外のところでも学ぶ機会が多くて、今の環境は自分が成長するのにとてもいいなと思ってます。

結婚されたそうですね?

はい。日曜日に結婚して名前が変わりました。旦那は、社会人野球をやっています。会社に所属していますが、今は練習をしたり試合をしたりというのが仕事です。私は燃え尽き症候群ですが、彼は正反対で粘り強く、やっぱりそういう人がスポーツを続けるんだなって思います。今年で引退をするので、それを期に入籍しました。

式は来年の12月に予定しています。友達は選手の方が多く、オフシーズンしか式に来ていただけないので。おたがいにアスリートを呼びあうパワフルな式をしたいと思います。こんなじゃじゃ馬娘でも引き取ってきれる男性がいてよかったです(笑)。

結婚後も、仕事は続ける?

仕事は続けます。彼に「どうするの?」って聞かれたけれど、やめることはぜんぜん考えていません。産休や育休の制度もあるし、職場の環境も整っていますから。男女比が同じくらいの職場なので、その辺はやっぱり理解はありますね。

夢は?

娘ができたら、この大学に入れることです。自分の歩んできた道に一度も後悔したことがないし、悔いが残ることもなかったし、ずっと笑えていたので。もし自分の子どもが道に迷ったら、「お母さんの道は間違っていなかったよ。」って自信を持って言ってあげたい。

あと、もう1度競技をやりたい。身近にアスリートを見ていて、やっぱり輝いているなって思うんですよ。自分がくすんでいるわけじゃないですけど、人が競技をやっているのを見ると自分もまたやってみたいなと。

旦那にはちょっと休んでもらって、今度は二人でできて長く続けられるような競技をやってみたい。せっかく2人になったんだから、2人で輝こうと思っています。

ニチジョ生にメッセージを

常に笑っていて欲しいですね。ニチジョ生は、集中力はすごいと思うんですよ。部活やっているいないに限らず、集中力があってのめりこむとすごい。それは強みだと思うんですけど、裏目に出ちゃうこともあります。突き詰めていったことによって、自分を見失ったり、壁を越えられなくてショックを受けたり、自暴自棄になっちゃったり...。

それって集中力があるからこそ、起きてしまうことだと思うんですよ。そこで仲間があると笑顔に戻れるから、仲間を大切にして、どんなにつらくても、演技でもいいので笑っていて欲しいですね。笑っていたら、絶対いいことあるんですよ。笑っていると、「なんかいいことあったの?」って話しかけてもらえるしね。

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