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管理・事務系
レコード制作会社・生産管理部門

増田 可奈子(2008年度・舞踊学専攻卒)

レコード制作・グループ会社


瞬発力を求められるとってもスリリングな毎日です。

増田さんはエンターテイメント業界で働いています。学生の時に志望していた業界でしたが、自分の思ってもみなかった部署に配属となってしまいました。初めてのことばかりに戸惑いながらも、働く手応えを掴んでいきました。
<2009.12収録>

どんな会社ですか?

レコード会社です。CDジャケットやビデオ、ゲームなどのパッケージやグッズ制作をしています。他にもレコードのプレス、流通販促など、主にレコード音楽ビジネスの物作りに関わることをやっています。私は購買部という、レコード制作に関わる材料を調達する部署にいて、印刷物を扱う仕事をしています。入社してまだ、1年目です。

エンターテイメント業界を目指した理由は?

舞踊学専攻だったので、仕事もやっぱりダンスのことがやりたかったんですけど、じゃあ就職はダンス用品販売っていうのも、なんか違う気がしていました。3年生の健美祭の時に、実行委員長になって、レコード会社にご協力をいただき、非常にお世話になりました。私にとっては、今の自分に続く貴重な体験でした。

シュウカツは、マスコミにも興味はあったのですが、音楽も好きだったし、ダンスと音楽はとても近い関係にあるので、その2つを組みあわせてエンターテイメント業界かなって思いました。最初は芸能プロダクションとかも受けていましたが、レコード会社がいろんな事業を広げているのでおもしろそうだなと思い、途中からレコード会社一本に絞りました。

レコード会社はほぼ全社受けましたが、なかなかうまくいきませんでした。アルバイトとして業界に入ることも覚悟し始めましたが、4年になる4月くらいにやっと今の会社が決まりました。最終的に受かったのは今の会社だけです。

実際に働いてみてどうですか?

配属が決まって、自分の部署が購買部と聞いた時、「それってどこ?」って思いました。エンターテイメント業界というと、私はアーティストについて宣伝をしたり、音楽を録音したりというイメージを持っていました。

でも今の部署では、日々、下版がどうの、印刷がどうの、加工がどうの、製本がどうの、仕上がりがどうのとかそういう話をしています。その中で私は、印刷会社さんからの見積もりをチェックしたり、発注書をきったり、印刷に使う用紙を購入したりしています。どちらかと言えば、印刷会社の営業に近い感じです。

最初はもっと時間をかけて仕事をやるのかと思ったら大間違いで、バンバン書類がきてバンバン処理していく感じ。納期ぎりぎりで1日でも寝かしてしまうとアウトなので、時間通りオンタイムで仕事を回さないといけません。

忙しいときはこんなにも瞬発力、スピードを求められるんだって思いました。今は自分に課せられたことをこなすだけで精一杯ですが、もうちょっと工夫して仕事をできたらと思っています。

印刷物っていうのはなかなか奥が深いんですよ。アーティストの顔の色も非常にシビアだし、抜きが1ミリずれてもだめ。むずかしい生き物のようなものです。スリリングです。

エンターテイメントに対するイメージは、働いてみて変わりましたか?

エンターテイメント業界というと華やかなイメージを持っていましたが、「意外と地味で、泥臭いな。」って思いました。華やかに見えているけど、その裏に隠れているものがたくさんあると知りました。裏でアーティストを支えている人がたくさんいるんだと。購買部もその中の1つです。

大学の時には想像もしていなかった部署になってしまいました。でも、自分の好きなことだけやっていたら成長しないんだろうな。ダンスのことだったら知ってる、そのままでいけるって思っちゃうから、発想はそれしかなくなっちゃう。思ってもみなかったところで頑張るっていうのも大切ですし、すごく勉強になっています。

やりがいは何ですか?

店頭に並んだ商品を見ると、物づくりに携わったという実感がわき、やりがいを感じます。他の部署や取引会社の人と一緒に試行錯誤して、作りあげたものが形になった時は、やって良かったなと思います。

ジャケットのデザインなどは専門の部門がやるのですが、購買部はそのデザインを実現するための最適な紙を見つけだしたりします。デザイナーの思いを大事にしながら、予算や納期も考えていかに現実的なものに着地させるかというのも大事な仕事です。

だから、印刷や用紙に関する知識がすごく必要です。知識の引き出しがいろいろあると、そこからアイディアを引っ張りだしてきて営業さんに助言できたりするので、私も早くそういうふうになりたいです。それにはまず経験して、知識をがんがんためこまないと...。

普段は仕事に追われて、そんなことも見失われがちですが、やっぱりみんなの引き出しにならなきゃいけない、クリエイティブな仕事をしなきゃいけないんだろうなって思います。頼られたり相談されたりして一緒に考えていければ、それもやりがいにつながっていくと思います。

今の仕事で得られたことは?

ビジネスルールだったり、お金の勘定のしかただったり。ものづくりの川上・川下みたいな流れを見られるというのはすごくいいですね。特にお金のことは大きい。

学生の頃は、たとえば「この雑誌いくら?」って聞かれても、「1000円?高いな。」とか思うだけで、どうして1000円なのかわからない。小売り価格しか知らなかったから。仕事をやってみて「材料費はこのくらいかかって、手間賃がこれくらいだから、なるほどこの金額なんだ。」って、価格を分解できるのはすごい。

取引業者の見積もりを見ても、最初は数字だけで100円だから安い、90円ならもっと安いっていう感覚しかなかったんですけど、100円でも90円のことしかやらなかったらそれは高いもので、1000円でも1500円のことまでできるのならそれは安いものなんだっていうことを知りました。

上司にそんなことを1から10まで教えてもらっています。そういうのを見る力って、ダンスでも、ライブエンターテイメントでもどんなものでも必要だと思います。

会社の雰囲気は?

単純に居心地がいいというのもありますが、社風は自分にあっています。日本にいると、個性を否定して集団行動みたいなところがあるじゃないですか。会社からは逆に、「自分の個性を生かして型にはまるな。会社の歯車になるな。」って言われます。だからみんな個性が強いですよ。

今の夢は?

今はやっと1歩を踏み出したばかりですが、やはり元々ダンスのことをやりたくて入ったので、今の印刷部門からどうやってダンスの方に近づけていくか、漠然と思っています。仕事が回せるようになったら、そっちにも目を向けられたらと思います。

もしダンスのことができるようになったら、どういうことをやりたい?

新人育成にダンスのプログラムを入れていったり、イベントのプロデュースだったり、そういうことにかかわれたらいいなと思います。自分がダンサーとして踊るっていう感覚はもうないので、基本的に舞台の裏で働きたいんです。

そして、できればビジネスの仕組みを作りたい。たぶんアメリカなどはもっと進んでいて、エンターテイメントビジネスの手法もいろいろ考えられているじゃないですか。日本でも、エンターテイメントを資金的にも透明で継続性がある事業にする、そういうことに興味があります。

音楽にはメジャーとマイナーがあるけれど、ダンスってどうもマイナーしかない感じがするんです。クラシックバレエや伝統芸能の世界からはみ出たとたんにサブカルチャー的になっちゃうような。

バックアップダンサーにしても一部のなかで回されているような感じだし、ダンサーの地位とかをもうちょっとなんとかして、もっといろんなダンサーに可能性を広げて、ダンス業界を活性化できたらいいなと。

そういう部署はあるんですか?

ダンスイベントはやったりするんですが、会社のダンス部門というかダンスばっかりやっているところはないですね。そこはやっぱりダンスミュージック系の会社の方が強い。ダンススクールとかもやっていますし。

でも、もうすでにやっているところより、まだやってないところでビジネスの間口を広げるほうが楽しいのかなとも思います。今の会社は、グループ企業がたくさんあるので、いろんなところと手をにぎって仕事ができるんじゃないかなと思います。

ニチジョ時代はダンスコンテストで活躍していましたね?

あの頃は勢いでやっていたような感じです。今思えば、やはり学生だから何かと守られていた面もあったんだなと。社会にでたとたんに、守られていたものがまったくなくなりました。それはいやおうなしにわかる。卒業してなんにもなくなったら、ほんとに気合いをいれないとやっていけません。

仕事をやってみて思うのは、会社っていうのは、おもしろいことをやって花火を打ち上げることより、継続性があることを求めているということです。勢いでやるような感じではなく、会社の看板を背負ってきちんとしたスマートなやり方というか。

新しいことをやる時も、ただ吠えて数打ちゃ当たるんじゃなく、やっぱりなにかを読みとってニーズがあるからやる。みんなを納得させる方法がないと、おもしろいだけじゃやらせてもらえないんだということを知りました。

ダンスで食べていくことも、それと似ているかも?

そう。プロになるっていうことは、好きで踊るだけじゃないと思うんです。逆に言うと、ダンサーも、もうちょっとお金のことを考えたほうがいいんじゃないかな。「ちょっとお金もらえたらそれで満足。ステージさえあれば他にいりません。」っていうのはちょっと寂しい。

もちろん実験的なことができるのは学生の特権ですが、ダンスでも進みすぎるとごく一部の人しかわからない世界になる。わかってもらおうとしてないダンスもあったり。でも社会に出てダンスで食べていこうとしたら、それではやっていけないでしょう。新しいけど、新しくなりすぎないところで大衆に受け入れられる。「半歩進むのがいいんだ。」って言ってた人がいました。

それは芸術じゃない、ダンスじゃないとか言われますけど、そこからダンスにはいる人も大勢いると思うんです。安室奈美恵を見て始めたっていうダンサーはたくさんいますけど、いきなりピナ・バウシュを見て感動したっていう子どもはあんまりいないでしょう?大勢の人に伝達できるっていうのはそれだけでりっぱなことだと思います。

エンターテイメント界でダンサーをやるとしたらアドバイスは?

エンターテイメントは商業ビジネスですから、ひとりのアーティストのために何百人のプロが動いています。ダンサーは自分の表現が正しいとかそういうレベルじゃなく、大勢の人とコミュニケーションできるか、そういうプロの責任感と覚悟が必要になってくるのかなと思います。

「ダンスやっています。」っていうのは簡単に言えますけど、「ダンスでお金を稼ぐってほんとに大変だぞ。」とか、「売れるってほんとにすごいことだぞ。」とか、「そのなかでアーティストとしてデビューするっていうことはもっと大変だぞ。」って思ったほうがいいかなと。

本気でダンスをやりたいと思ったら、アルバイトしながら何とかできるとか、あまり中途半端なことをしないほうがいい。本気でダンスで稼ぐというか、お金もらうんだぞっていう覚悟を持つ。学生のうちにその覚悟を決めたほうがいいと思います。踊ることももちろん大事だけれど、踊りで生きていくすべを学ぶ事も大事じゃないかな。

エンターテイメント界でダンサーじゃない仕事をやるとしたら?

エンターテイメント業界で働きたい人が増えればいいなって思います。自分が踊っていた経験は、絶対に役に立ちます。特にレーベル系の仕事は、アーティストと一緒に生み出していく作業なので、アーティストさんの気持ちもわかるし、ステージのこともわかっていると、そこは大きいと思います。でも裏方としてのプロは、アーティストの経験だけでは務まらないので、そこははっきりさせといたほうがいいと思います。

自分の場合は、なにもわからずに飛び込んでみて、いろんな人に巡り会えました。誰でもアクションをおこせば、きっと巡りあうことができると思います。そういう意味では、1、2年のうちにいろんなことをやって、そこでチャレンジやトライアルしてみることも大事なのかな。アルバイトでも、次につながるきっかけになるようなものを探してみるといいと思います。

ひたむきになっていいものを作っていく姿勢、その点ではニチジョ生はどの大学より一生懸命かもしれない。ひたむきになれるっていうのは、すごく仕事でも生かせます。