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ダンス系
映像作家、振付師、ダンサー

吉開 菜央(2009年度・舞踊学専攻卒)

フリーランス


型にはめることなく映像への興味や可能性も伸ばしてくれる場でした


<2019.05収録>

踊りを通じて映像制作と出会う

映像制作のきっかけは2年次のとき。「お風呂で踊る作品を作りたい」と、お風呂でダンス映像を撮影したことがありました。制作中、場面を繋いだり、間を取ったり、目線を寄せたり引いたりする方法を考えるうち、映像の表現手法は踊りの振付に良く似ているのだと気づきました。ダンスを映像的なイメージで思い浮かべていた私の思考が、映像制作に上手くはまったのだと思います。

学生が借りることのできるカメラやパソコン、編集機材などが揃った小部屋を学内に見つけて、そこに籠もって独学で映像をいじっていました。Adobe Premiere ProやAfter Effects など、全く使ったことがありませんでしたが「こういうことができるんだ」と失敗と成功を繰り返すうち、すっかり映像制作にのめりこんでしまったのです。

気がついたら「踊りのレッスンより撮影をしたい」と思うようになっていました。学内には映像作品を発表する場もありましたし、感想を述べてくれる仲間もいました。「やりたいことは何でもやれ」というニチジョの自由な気風が追い風になったことも大きかったと思います。

大学院で酷評を体験

ニチジョを卒業した後、映像作品をもっと作り続けたくて東京藝術大学大学院映像研究科に進学しました。
それまで"創る"ということに対して身構えることなく、自由に制作を行っていました。けれども大学院の授業では一転して厳しい批評を受けるようになりました。プレッシャーによる体調不良で授業に参加できなくなる生徒もいたほどです。あの辛辣な講評を通じて学んだのは、技術だけではありません。卒業後、作品を世間に出して行く心構えを叩き込まれたのだと思っています。発表には恐怖が伴うのだと、成果を世に問うにはそれほどの勇気がいるのだという覚悟を得ることができました。

今思えば、ニチジョ時代のわたしは非常にのびのびとしていました。制作に対する恐怖がなかったと言えるでしょうね。あの自由気ままなニチジョ時代があったから今の私があると思います。手心を加えない批評ももちろん大切ですが、心のまま仲間と共に創りあえる空気も、ものづくりには必要なのだと思います。

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クライアントワークと作家としての創造

私の場合、映像作家としての仕事は、報酬をもらって行うクライアントワークと、自分が企画して表現したいことを作品にする創作活動の2種類がありますが、両方とも私にとっては大切な仕事です。
クライアントワークは仕事を発注してくださるお客様、つまりお金を出してくださる方と一緒に作り上げて行くものです。それなりの制約もあり、ぶつかることはあっても目指すところは一緒。良いものを作りたいという意思のもとで共同しながら邁進できますし、できあがったら一緒に喜びを分かち合えます。
『Lemon』で踊ったとき、自分にとって当たり前だと思っていたことに対して、「踊りでこういうことが伝わるんですね」といった様々な反応をもらえたのはうれしかったです。作品を観た方に反応をいただけるのも、やりがいのひとつです。

作家としての創造はお金だけのために行う訳ではありません。大体いつも赤字になりますが、自分の表現したいことを自由に創ることができます。作品ができあがるたびに、次のステップに導いてくれる。作家としての創作は私自身が、私自身の欲望で、観たいもの、チャレンジしたいことを、誰にも制限されずに自分の責任において探求できる場なのです。

やる気がある人を応援してくれるのがニチジョ

ニチジョはスタイルや技法を教えるだけの大学ではありません。「ジャンルに囚われず何でもやる」というチャレンジ精神を後押しする場でもあるのです。ちょっとでも興味を持てることがあったら貪欲に食いついてほしいですね。意欲や可能性を伸ばすチャンスにたくさん巡りあえるはずです。

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