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営業系
リフォーム営業

永井 彩(2011年度・健康スポーツ学専攻卒)

リフォーム会社勤務


営業で、1日100軒ピンポン押してます。

永井さんはシュウカツでデザイン関係の仕事を目指していましたが、紆余曲折があって営業職として働いています。1年間働いてみて、改めて自分の夢を見つめ直し、新たな出発をしようと考え始めました。
<2013.04収録>

社会に出て1年たちましたね。

働いて1年ですけど、何か...仕事をしていて全然ワクワクしなくて、将来のビジョンも生まれて来なくて...、今、すごい考えています。

どんな仕事をやっているの?

リフォーム会社の営業です。主に家の外回り、外壁とか屋根を中心にリフォームをやっています

古い住宅を建ったままで新築同様にする、みたいな?

そうです。この業界では、「壁の塗り直しは築8年から20年ぐらいの家がピンポイント」と言われていて、そこを中心に「ピンポン」してくんです。

ピンポンって?

あ、訪問販売なんです(笑)。1日100軒ぐらいインターホンを押しますよ。古い家だけじゃなくて、その日回る地区の一軒家ぜーんぶ回ります。でも玄関口まで出て来てくれる家は少なくて、お話ができるのは100軒のうち4、5軒くらいかな。外回りのリフォームは300万以上する高い商品なので、そう簡単には売れなくて、1カ月回っても1件も契約が取れない時があります。
私が最初にお話するのはだいたい主婦の方ですが、そこで「いい話ね。」って言っていただけたら、今度はご主人に説明に伺います。ご主人はだいたい土日がお休みなので、土日の営業が重要です。
そこで「見積もりくらいなら。」となったら、営業としてひとつアポイントメントが取れたことになります。会社に「こういう家で、家族構成はこう、ご主人の性格はこう、奥さんは金銭感覚に厳しそう...」とか、報告書を提出して、あとは見積もりを作ったり工事の説明をする工事担当の社員にお任せします。

工事の進行には関わらないの?

営業は工事担当に繋ぐだけなので、工事の完成までは見届けられません。そこはちょっとさみしいんですけど、自分はまた違うお客様を探しに行きます。

どんな会社ですか?

総合リフォーム会社と謳っていますが、ほとんどは壁と屋根と水回りのリフォームが専門です。東海地方に本社があって関東にもいくつか支店があります。私は最初に、埼玉支店に配属されました。そこは社員が20人くらいでした。
入って最初にセールストークを覚えました。インターホンを押すところから始まって帰るまで、しゃべる事が全部決まっているんです。
「奥さんのおうち、建って何年ですか?」「何年だけど...。」「建って何年って言うと、ちょうど壁や屋根のお手入れ時期って言われてるんですけど、考えておられますか?」「でもお金がかかるんでしょ...?」「そうですよねー。やっぱりやるとしても先の話ですかねー。」「そうねえ、まだちょっと先かなぁ。」「タイミングがありますものね。でもいずれはされる予定ですか?」「そりゃいつかはするけど...。」
そんな流れになったら、「じゃあひとつ会社からお知らせがあるので、最後にそれだけして帰っていいですか?」ってお聞きします。そこで「いいですよ。」って言ってもらえたら、「外壁のお手入れっていうと...、」と説明を続けます。「もう結構です。」って拒否されたら、押し売りにならないよう「またいつかお願いします。」と言って帰ります。
「いずれは...」と考えてるお客様には、外壁のお手入れ方法を一通りお話して「実は、今ならお安くできるプロジェクトをやっているんです。」と言います。「今なら安い。」と聞いて「まだちょっと先。」と考えていたお客様も心が動くことがあります。

そんなセールストークを教えてもらってすぐできました?

最初は先輩の営業がやるのを後ろで見ていました。それから先輩に後ろについてもらって自分でも何軒かやってみて、3日後には1人でポーンって出されました。私、すごい人見知りなので、知らない人と話すだけでドキドキしちゃうんですけど、そこは仕事なので...。初めての人の前で緊張するくせを克服しなければと思ってやっていました。

毎日、どんな風に営業しているの?

出社は11時となっているんですけど、「ロープレ」と言って10時ぐらいからみんなでセールストークの練習をします。「ピンポン、こんにちは。」から始まって全部やります。11時から朝礼をして、11時半ぐらいに会社を出て、クルマに乗せられてその日営業する地域で降ります。
12時過ぎぐらいから一軒一軒回っていって、4時ぐらいに一度クルマに回収され、30分ぐらい休憩します。それからまた6時半ぐらいまで回ります。会社に戻ってからは、その日の報告書を提出して8時くらいに帰る、そんな毎日です。

雨が降っていても営業に?

雪が降っていても(笑)。夏の暑いのはまだいいとして、冬は4時半とか5時ぐらいには暗くなるし、ピンポン押しても全然出て来てくれないし、本当に寒くて...。そんな中、断りがキツいと寒さ倍増して、心まで寒くなります(笑)。
埼玉支店で3カ月ぐらい営業して、7月に柏に新しくお店を出すことになって移ったんですが、柏はすごい市場がキツくてほとんど営業成績を上げられず、10月にまた異動になり、今は八王子支店にいます。そこは営業が4人、説明担当の人が2人です。

どうしてその仕事をやろうと?

最初はデザイン関係の仕事がしたいと思っていました。3年生の1、2月ぐらいから「ヤバい、もうやらなきゃ!」となってシュウカツを始め、出版社とか広告業界を中心に、デザインに関われるような会社を探して片っ端からエントリーしました。でもほとんど書類で落とされて全滅、「このままじゃフリーターかも。」と思っていました。
3月に合同説明会に行き、大勢のシュウカツ生がウワーッと一斉に質問しているのを見て、「私はあの中には入れない。」と思い、入り口で立ちつくしていました。「ボーっとしてるならここに座りなよ。」って声をかけてくれたのが、今の会社の親会社の人事の人でした。
「うちの会社はロハスを売りにしていて、環境にも人にも優しいリフォームをやっています。」みたいな説明を聞き、パンフレットを見せていただきました。「インテリアの仕事も出来ますよ。」と言われ、「インテリアにも興味あるしな。ここならデザインにも関われるかも...。」と思いました。それからはポンポン選考が進んでいって、6月に内定をいただきました。
内定が決まってから「仕事の役に立つかも。」と思い、インターネットの学校に通いウェブデザインの勉強を3カ月間しました。でも本当に触りだけだったのであまり身にはつかなくて、もうちょっと勉強したいと思いました。でも今は営業をしているので、結局デザインの仕事とは1ミリも被っていないんですけどね。

インテリアの仕事で、古いマンションをお洒落に改造するリノベーションとか、面白そうですよね。そういう会社に出会えていれば良かったね。

私もホントはそういうインテリア系のリフォームがやりたいんですけど、今の会社では「それだと利益が上がらない。」と言われるので...。

お給料面はどうですか?

アポが取れなかったら基本給だけ、私の場合はだいたい10万ちょっとです。アポが取れたらそれに応じてインセンティブがもらえます。私はまだ経験がありませんが、1カ月に3軒契約がつけば100万ぐらいもらえるらしいです。
私も入社当初は好調で、一気に3軒アポが取れたりしました。その時は新卒だったので30万ぐらいしかもらえませんでしたが...。でも、それからずっと営業成績が低迷していて、今月久々に1軒契約が取れました。
私の会社は2カ月間アポが取れなかったら、教材とか水の訪販をやっているグループ会社に飛ばされちゃうんです。それか自ら辞めるかどっちかです。私の時は新卒が14人入ったんですけど、パタパタと辞めて行って、今残っているのは2人だけです。

残っているということは頑張ってきたんですね?

頑張りました。この仕事、体力がないと無理だと思います。1日中歩いていますから、万歩計付けたらかなりいきますよ(笑)。回った軒数を報告しなきゃいけないので、軒数を追うのに必死で休めないんです。

仕事のやりがいって何ですか?

契約を取るだけ給料は良くなるから、お金を稼ぎたい人には向いているのかもしれません。実際、コンスタントに契約を取って、バリバリ稼いでいる人もいます。でも私は、いいお給料を欲しいとか、高い役職に就きたいとか、全然思えないんです。
リフォーム会社って、悪徳業者がいたりするからすごい警戒されます。時には主婦の方にすごい勢いで拒否らたりすることもあり、その中でも心を開いてくれる人に出会えることがあって、自分を信じて本音を言ってくれたり、「あ、今、心を開いてくれた。」って感じる瞬間がある。だからキツくても今まで頑張れて来れたのかな。
「この人だったら仕事になりそう。」とか、「この人に話しても無駄だな。」とか、「この人はこう言ってるけど、本当はきっとこう考えてるんだろうな。」とか、そういうことを推察する能力が身に付きました。今は「ヒアリング能力を高める為にやろう!」と思ってやっています。
おばあちゃんおじいちゃんから、親世代、自分たちより少し上の人まで、幅広い年代の色んな考えの人とお話する、そういう経験ってあんまりできないですよね。

確かに、毎日100軒回って全然知らない人と話すってすごいと思う。今日は誰とも話したくないっていう日、ありませんか?自分なら月曜日とか...

今日だ(笑)。私だってホントは、知っている人達の中だけで生きていたかったんだけど、社会に出るとそういう訳にもいかないし...。
でも、今の会社で人を見る目が養われたというか、会社の人がいつもと同じように振る舞っていても「今日営業先で何かあったな。」と気づいたり、ちょっとした変化に敏感になりました。昔からそういう能力を身につけたかったんです。友達とか身近な人に、相談されるような存在になりたかった。それは部活の時から、ずっとそう思っていました。

部活は?

フェンシング部です。後輩が悩んでたり練習が厳しくてきつくても、なかなか先輩に言えないじゃないですか。そういうのをフォローしてあげたかったけれど、自分の至らなさで辞めちゃった人もいて、残念に思っていました。

フェンシングはいつから?

小学校に上がる前から剣を持っていました。父がフェンシングの日本代表で活躍していた人で、高校の教員としてフェンシングを教えていました。それで私も始めたのですが、当時は「やらされてる感」がすごくありました。
だから小中学生の時は、バレーや水泳、ソフトテニスとか、違うスポーツばっかりやっていて、高校になって「他にやりたいのがない。」という理由でフェンシングを再開しました。種目は「エペ」です。

どこを突いてもいいやつ?

はい、全身を突きます。ちょっと仕掛けて、相手にそこと思わせておいて違う事をしたり、裏の裏を読んでどちらかというとゆっくりめに動く、フェンシングの中では一番駆け引きがある種目です。
高校で父に指導されました。やっぱりやるからには勝ちたいというのがあって練習は頑張りました。高校2年のインターハイでベスト16になりました。
高校3年のインターハイでは、狙ってなかったのにアレヨアレヨと勝ち上がって2位になりました。念願の表彰台にも上がれて、周りからの「もっとやれ!」みたいな期待感もあり、推薦でニチジョに入れてもらいました。

大学に来て?

先輩達がすごい強くて、全日本の団体で3連覇したり結果を残していました。私も全日本に出場しましたが、団体は1回戦で敗退しました。大学生活は本当にフェンシングしかしていませんでした。

その頃は何になろうと?

健スポだったので、最初はマッサージとかトレーナーとか、人をメンテナンスする仕事を考えていました。でもイラストや写真が好きだったこともあり、徐々にデザインの仕事に興味を持つようになりました。

今の会社で、ずっと勤めていたら将来的にはどうなるの?

営業を続けるか、説明担当に移るかどちらかです。10月ぐらいから、頑張っても全然売れないので、正直「はあぁ~。」と思っていました。12月に入って、1つ上の主任に「永井はいつまでに主任や係長になるとか、そういうビジョンはないの?」と聞かれました。主任はトップセールスマンで、コンスタントに月に1本か2本は必ず契約を取っていました。
自分は別に主任になりたくないし、「何でやっているの?」と聞かれても本当に目標がないんです...。「でも自分に目標がないと、後輩が入ってもついて来ないよ。」って言われ、自分の部活時代のことを思って「確かにそうだ。」と思いました。
「役職を目指すとか頑張ってお金を稼くとか、そういうのが全然ないんだったら、この会社にいてもしょうがないんじゃないの?もっと別のところで自分のやりたい事をやった方がいいと思うよ。」と言われました。
自分にも「辞めたいけど、でも...。」という葛藤はありました。でもその中で、心を開いてくれるお客様に会えたり、会社の人もいい人だったので、仕事を続けてこられた。でも改めて自分の気持ちをズバリ言い当てられてしまうと...。
そんな主任が、自分より先に辞めてしまったのでびっくりしました。1月に入って他の社員から「主任は12月で辞めたよ。」って聞かされました。うちの会社、辞めるとなったら次の日ファッって消えるんです。送別会とかもなく、「本当に、いたの?」っていうぐらい、机もきれいになっていて...。

何で?!

主任には自分のお店を開きたいという夢があったらしく、その資金を稼くために営業をやっていたんです。営業は気持ちに左右される仕事なので、私に気を使って自分が辞めることは言わなかったみたいです。そのかわりに私にアドバイスをくれた...。
主任が自分の夢に向かって進んだと知り、自分も「"これが自分の仕事だ"と言えるものを掴みたい。」とつくづく思いました。「その為にはやっぱり手に職をつけなきゃ。」「そもそも自分は何をやりたかったの?」と振り返ってみると、デザインがありました。

これからの時代きっと、会社に頼らない生き方が必要になって来るでしょう。それには技術も必要ですよね。でも技術は一朝一夕には身につかないので、それまで頑張れるかな?

これから社会がどう動いて行くか、自分の環境がどうなっていくのか、分からないんですけど、今後どこで生きていくにしても、仮に年金とかそんなにもらえなくても、自分の力で生きていけるすべを身につけたいんです。それならやっぱり自分が興味がある事に時間を費やした方がいいんじゃないかと思っています。

部活をやっているニチジョ生にメッセージを。

ニチジョ生は部活一本の人が多いと思うんですよ。本当に毎日練習ですよね。その中でも色んなアルバイトが出来たら自分の世界がまた広がって行くと思うんですけど、私はもうバイトなんか出来ませんでした。深夜とか早朝にコンビニのバイトをやったくらいです。そして部活がなくなった瞬間、本当もう何にもなくなって抜け殻みたいになっちゃいました。
自分はトレーナーになるのはあきらめましたが、そういう職業にもうちょっと踏み込んだ授業とかがあって、「自分はこれで稼いでます!」というプロのスポーツトレーナーに出会えていれば、「自分もそうもなりたい!」って思ったかもしれません。
人の繋がりって運もあると思うんですが、自分で求めていかないと中々繋がらないから、意識して他の人と繋がって視野を拡げてみるといいと思います。自分は研究室の先輩と仲良くさせてもらい舞踊専攻の子とも繋がれて、自分の視野が広がりました。部活で忙しい人は、他専攻の子と繋がるだけでも世界が広がると思いますよ。

<後記>
その後永井さんは会社を辞めて自分の夢に近づこうと、アルバイトをしながら夜間のデザイン学校に通い始めました。