21世紀の社会は高齢者が多くなりますが、それだけに社会での活躍は年齢だけでは決められなくなります。
いままでのように「一定の年齢で引退…」ということではなく、ひとりひとりが心身の状況に応じて「生産的な場で働く」ことも期待されています。もちろん、地域社会に貢献したり、自分の生活を楽しむことも含めて充実した豊かな人生を送りたいと願う人が多いでしょう。それには心身が若さを保っている必要があります。
このような、生産的、創造的な活動をしっかり行うには「仕事のできる手」が必要になってきます。
長い時間仕事を続けるには、活動している筋肉に酸素を供給し続けることが重要です。そのためには酸素を運ぶ血液が筋肉へ十分流れ込む必要があります。しかし、作業が長く続く場合や、作業の強度が高くなると、必要な酸素に対して運ばれてくる酸素が不十分になり、筋肉に疲労物質が溜まります。そうなるとからだの応答が変わってきます。
作業の強度が高くなると、血液が流れにくくなったり、疲労物質の影響もあって血圧が上昇します。血圧の上昇は心臓に大きな負担となります。それでもなお作業を続けることはできますが、安全という観点からみるとこれ以上の作業は問題です。特に、高齢の方はこのような事態を避けるのが賢明です。
らくらく仕事のできる負荷の範囲を調べてみましょう。(図1)のように軽い荷物を持った時には、血液は流れやすく血圧はあまり上がりませんが、重くなりますと急に血圧が上昇するようになります。このように血圧を上げずに無理なく仕事のできる負荷の上限を、上肢のワークキャパシティの指標とすることができます。調査の結果によると、この能力は加齢とともに低下します(図2)。それは循環系や筋系の機能が低下するからです。また、同年齢でも大変個人差が大きく、若い人でも安心はできません(図3)。